学びの風呂敷「もののはじまりは何でも堺」の堺ミステリーツアーレポート

学びの風呂敷「もののはじまりは何でも堺」の堺ミステリーツアーが開催されました。

2014年5月24日はふろしき団が主催する初のウォーキングイベントの日です。
今日の舞台は大阪府堺市。
日本維新の会の橋本大阪市長が提案する大阪都構想で、堺市は反対意見を強く主張している話題の都市ですが、歴史を見ると古くから日本の歴史を陰で操っていたのは、堺ではないか?と言われるぐらい重要な都市でもあります。

堺と聞いて連想することは何ですか?
自転車?お香?刃物?千利休?いや、やっぱり「商人の町」というイメージではないでしょうか?

そして「もののはじまりは何でも堺」の意味することとは?
堺ミステリーツアーのはじまりはじまり~。

大小路駅

南海本線堺駅に10時30分に集合したわたしたちは、チンチン電車に乗るため大小路駅へ向かいました。
小さなホームにある小さい地図をみながら、周辺の旧跡などを瀧澤先生に説明してもらいます。
堺市は戦国時代から何度も焦土と化して、その度に復興をとげてきたので、千利休が生きていた時代は今より3メートルほど地盤が低かったそうです。

車内講座

チンチン電車に乗ってすぐに、瀧澤先生の講座がはじまりました。
少しの時間も無駄にせずに、参加者を飽きさせまいと張り切っておられます。
ちなみに堺駅に来るまでに、真っ赤なラピートを見ました。
これは縁起が良いと思いましたが、チンチン電車内の広告で、ガンダムのキャンペーン列車であることを知りました。
赤い彗星・・・。

高須神社駅

高須神社駅に到着しました。
目の前には想像と違った神社らしくない小さい神社がありました。
「この神社は、高須クリニックと関係があるのですか?」
誰もが疑問に思うことをあえて瀧澤先生に聞いてみましたが、知らないとのこと。きっと何か関係があるはず・・・。
それから、鉄砲梶屋敷に向かいます。

お香屋

風情のある町屋は、お香屋さん。
お香や線香は堺の名産品です。
においは漂ってこなかったけど、きっと中に入ると良い香りに満ちているのでしょう。

鉄砲梶屋敷を歩く

鉄砲梶屋敷前を歩いています。
よく堺が舞台のドラマやバラエティ番組などで、このあたりがよく撮影されるのだと先生は言われましたが、「京都みたいに古い町並みが続いていたらいいけど、堺は飛び飛びにしかないねん。」だとか・・・。

鉄砲梶屋敷

それでも趣のある建物に当時を偲びます。
窓の格子が太く密になっているのは、外敵が来ても覗かれないようすることと、防犯のためだそうです。
鉄砲という武器を扱っているのだから、その理由はよくわかります。

堺鉄砲館

歩いていると、観光地図にも観光案内パンフにも掲載していない「堺鉄砲館」という町屋がありました。
ここは入ってもいいのだろうか?と躊躇していると「早よ入り。そこの木箱に100円入れて座り」と何やら眼光の鋭い主人に促されるまま中に入りました。
果たして生きて出ることができるのだろうか・・・瀧澤先生も緊張しておられます。少なくとも鉄砲で撃たれることはないと思います。

この堺鉄砲館は堺市と関係があるわけでなく、有志の町民の方がボランティア、というより趣味で土日だけ開館されている施設。
ご主人はイベントなどで火縄銃を撃ったり、全国各地を巡っているのだそう。

鉄砲がずらり

ご主人が所有している鉄砲が飾られていますが、足軽銃から侍銃まで揃っています。
「持ってみるか?」と眼光鋭い主人に言われて断れるはずもなく、細身の足軽銃を手に持つとズシリと重い・・・鉄の棒を持っているのと同じで、これを持ちながら走り回るなんて難しいと思いました。
この銃を構えて正確に標的に当てるなんて、とても困難なことです。
次に侍銃という太めの銃を渡されると・・・・うっ・・・お、重すぎる・・・足軽銃の何倍も重かったのです。

火縄

次に銃の撃ち方のレクチャーがはじまりました。これを聞き終わる頃には、いつでも出陣できそうだとみんな思ったことでしょう。
「これが火縄です。この縄に火をつけますが雨の日は使い物になりません。しかも重くて衝撃もあるので上手い人でも、当てるのは難しい。だから数打ちゃ当たるの理論ですわ。だから堺の商人は大量生産できる方法を自分たちで考えたんやで」

鉄砲の生産地は他の地方にもありましたが、大量生産できたのは堺だけだったそうです。
しかも、いつどこで戦さがはじまるのか?その情報を流してくれていたのは千利休だったとのこと。

火縄銃の撃ち方

八重の桜の「綾瀬はるかちゃん」のように銃を構えてみたいと瀧澤先生も思ったことでしょう。これが銃の構え方です。
どうせなら一発だけ空砲を撃って、その音を聞いてみたいのですが、それをすると警察が飛んでくるからできないそうです。

この鉄砲を作る技術が、自転車を作る技術につながり、火薬を扱う技術がお香を扱う技術につながっていきました。

そろそろお昼時です。ご主人から「この前の通りをまっすぐにいったら友達がやってる無料休憩所があるよ」と教えられ、当初ザビエル公園に向かう予定でしたが変更することにしました。

鳳翔館

たどり着いたのは「鳳翔館(ほうしょうかん)」。
一見すると飲食店のようです。ほんとうに入っていいのでしょうか?

鳳翔館内

中に入ると、そこはとっても素敵な町屋空間でした。
ほんとうに無料なのかな?とみんなでそわそわしていると、女将さんがでてきて「無料ですよ。ゆっくりしていき。お昼も食べていいよ」とありがたいお言葉。
この女将さん、ご主人は堺鉄砲館のお友達で、同じく鉄砲隊の人。この鳳翔館も堺市とは無関係で、土日だけ趣味で開いているそうです。
「お茶とお菓子を振る舞いながら、ここにやってくる人といろいろなおしゃべりをしたり、堺のことを話すことが好きなんですよ」
…と、にこやかに話す女将さんの様子に感動しました。

穴子寿司

ジャーン!深清の穴子寿司。
瀧澤先生がこの日のために早朝から用意していただいていました。
今日の昼食は穴子寿司です。

穴子寿司

ふわっとろの穴子が、舌にとろけてとっても美味。
堺の味覚は、これをなくしては語れない。

堺市山口家

次に訪れたのは、山口家住宅。
江戸時代に作られた町屋で「京の着倒れ、大坂の食い倒れ」と共に「堺の建て倒れ」と例えられたように、建物に贅を凝らした堺衆の名残があります。

町屋の鯉のぼり

中に入ると、とても大きな鯉のぼりが出迎えてくれました。
この鯉のぼりは堺在住の作家の方が作られたそうです。金太郎が鯉の背に乗っているのはその作家の独特の作風だとか。

山口家住宅の説明

山口家住宅には、専門のボランティアガイドさんがおられるので説明を聞くことができます・・・・・・が、「すんまへん。はじめてでんねん」とのことで、なんともたよりないガイドさんです。「う~ん、う~ん、わすれてもた~」っていいのかそれで?ほんまにええんか、それで?

でも心配ご無用。ガイドさんより詳しく瀧澤先生により説明していただけました。

番台
日本家屋

こんなところに住んで、縁側でのんびりしたい。
みんなそんなことをいいながら、古き良き時代の家屋を楽しんでいます。

廊下
山口家住宅の庭

季節柄ツツジが綺麗に咲いています。
手前の石桶にはメダカを飼って、湧いたボウフラなどを食べさせて、蚊の対策に活用していたそうです。

茶室

天井は他の部屋より低めだけど、ちょっと広めの茶室。
ごろんと寝転がりたい。そして昼寝がしたい。

本願寺堺別院

本願寺堺別院の前を通ります。

本願寺堺別院の門前

堂々として立派な山門。境内はひっそりと静まりかえっていました。

妙国寺山門

次に向かったのは妙国寺。
ここは天皇家も関わりがある由緒あるお寺。
そして樹齢1100年といわれる大ソテツが有名ですが、それ以外にも歴史的に見て大きな史実が伝わっています。

残念ながらここは写真撮影禁止です。
そして中を案内してくれる係の方もおられるので、全く興味のない展示物でも退屈せずに見ることができました。
大ソテツは・・・ソテツという植物になじみがないので、樹齢1100年といわれても縄文杉のような迫力はありません。

妙国寺本堂
妙国寺

天皇家との関係を示す菊のご紋が目に入らぬか!

妙国寺の土塀

土塀に刻まれている5本の白い線は、天皇家との関わりの重要度を示す印。5本というのは最上位ランクになるそうです。

妙国寺を出てみんなで歩いていると、ママチャリに載った小太りのおっちゃんが「どっからきたんや」と、私たちに声をかけてきました。
このおっちゃん西尾さんといい、顔、腕、足など肌が露出している部分が青い。そしてペンキくさい。あんたは堺のブルーマンか?と聞きたいところを押さえて、とても奇抜で破天荒な話を聞かされました。
うん、はじめて堺人らしい人に会った気分。

チンチン電車で移動

再びちんちん電車に乗って、堺駅方面に戻ります。
ここまで来るとちょっと小腹が減ってきました。
そう、これからお楽しみの堺スイーツめぐりです。

芥子餅の小島屋

みんなが楽しみしていたのは、小嶋屋さんの芥子餅。
一見普通の住宅でお店かどうかわからないところだけど、芥子餅といえばここしか考えられないと、案内してくれた瀧澤先生は言う。

小嶋屋売り切れ

おーまいがっ!なんと商品を売り切ったので、お店が閉店していました。
時間は3時過ぎ。前はこの時間でも開店してたけど、やっぱり土曜日だから来店客が多かったのでしょうか?

千利休の住居跡

千利休の住居跡。単にビルの谷間の空き地にしか見えませんが、由緒がある土地らしい。
そんな風にも見えないけど。説明されてもありがたみを感じないけど。つまり、そんな土地。

かん袋

やってきました「かん袋」。まだ開いてました。
ここで、名物のくるみ餅をいただきます。

くるみ餅を食べる

美味しいものを食べるときは、みんな無言になります。

氷くるみ餅

普通のかき氷?いやいや違いますよ、これは氷くるみ餅です。
この山盛りの氷の下に甘いくるみ餅が隠れています。

くるみ餅

氷を掘っていくと、くるみ餅みっけ!
昔は夏季限定だったけど、現在は年間を通していつでも食べることができます。

堺のチンチン電車

これで学びの風呂敷「もののはじまりは何でも堺」の堺ミステリーツアーは終わりです。
ほんとうに楽しい時間を過ごすことができたし、何よりも全く知らなかった堺の事や、千利休の裏の姿を知ることができて面白かったです。
次回はどんな学びの旅になるのでしょう。
今から楽しみです。

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