江戸時代、五行説を聞き間違えたことで生まれた迷信?
夫婦の年齢差にまつわる迷信は全国各地にあれこれ存在するが、四つ違いはとくに忌み嫌われるといいます。
いつのころからそんなことが言われだしたのか?
それは江戸時代の五行説にある「四厄重惑」と言われています。
聞き違いや言い間違いが重なったのか、これがいつしか「四目十目(よめとおめ)」として庶民に広まりました。
その結果、年齢差が4歳、10歳の縁組は悪いと言われるようになったのです。
さらに、「四目十目」という言い回しは、一方から数えて4つ目の年齢、または10個目の年齢の組み合わせはよくないという意味で、つまりは3つ違い、9つ違いの縁組を忌み嫌うものです
もともとの「四厄重惑」は、生まれ年の干支と、その人が干支に応じて持っている五行の性格などを合わせてみた相性をあらわしています。
五行による性格とは「木・火・士・金・水」のいずれかです。
五行説によれば、人間だれしも生まれつき木火土金水(もっかどごんすい)のうちの一つの性をもっています。
男女が木と火、火と土、土と金、金と水、水と木の性ならば相生(そうしょう)で縁談は吉。
男女が水と火、火と金、金と木、木と土、土と水の性は相剋(そうこく)で凶となります。
ただし吉凶の組合せ法は多種多様で、それを専門的に判断するのが易(えき)です。
干支では、「向かい干支」と称し、子(ね)と午(うま)、丑(うし)と未(ひつじ)、寅(とら)と申(さる)、卯(う)と酉(とり)、辰(たつ)と戌(いぬ)、巳(み)と亥(い)の年の男女は相性がよいといわれました。
そして、同じ巳年に生まれた人同士、午年生まれの人同士は「火」と「火」がぶつかって争いが絶えない。
「金」の性格を持つ申年生まれ同士、酉年生まれ同士も、激しい気性ゆえに相性が悪い。
陰陽五行説は古代中国発祥の興味深い世界観だが、この「四厄重惑」は日本で生まれたこじつけと見られ、「四目十目」にいたっては根拠さえもわからない。
今は男女ともに忙しく働き、晩婚化が普通になりました。
結婚適齢期もあまり言われなくなり、お互いの価値観を重視するようになり年齢差も気にしないカップルが増えています。
親や親せきも今の時代を知ってか知らずか、この迷信をそんなに気にしていないのではないでしょうか。