乱用危険!呪いを成就させる丑の刻参りの作法と代償~日本の迷信~

人が寝静まった深夜の社叢で、カンッカンッと釘を打つ音が暗闇から聞こえてくることがあります。
どこの誰かが丑の刻参りに訪れている…音のするほうに静かに近づいていくと、髪を逆立てた女が老木に呪いの藁人形を打ち付けていました。
誰を呪っているのか?怨念のエネルギーが恐怖となり、私は急いでその場を立ち去りました。

目次

人形を使った呪術は、最も効果がある今も続く風習

藁人形を使った丑の刻参りは、時代劇やホラー系の漫画でよく登場しますが、現代でも実在する呪術のひとつです。
神社の社叢にある老木に、藁人形が打ち付けられていたのを目にした人もいるのではないでしょうか。

「丑の刻」とは、現在でいう午前2時ごろのことを指します。

時代劇の妖怪物や昔話などでよく語られる「草木も眠る丑三つどき」とは、誰もが眠りについている深夜の時間帯を指しています。

24時間営業の店舗が当たり前にある現代では、現実味が薄いかもしれませんが、今でも受け継がれている呪術なのです。

深夜2時の神社は、昼間とは全く様相が異なります。
特に月の出ない闇夜の境内は、物の怪が闊歩してそうな不気味さに満ちています。行くだけでも肝試し以上の怖さがあります。

その恐怖を感じないほどに恨みを持った人物が、この時刻に、人知れずに神社に御参りするのは、それだけ丑の刻参りに効果があると信じているからです。

人の恨みはいつの世になってもあります。でも本当にその手で殺してしまうと犯罪になります。
だから人は呪術という方法で、呪い殺す(災難に合わせる)ことを考えるのです。

丑の刻参りの方法

●身なり

・白装束(白い服)を身にまとう。
・髪を振り乱し、顔に白粉を塗る。
・頭に五徳(鉄輪)をかぶってそこに三本のロウソクを立てる。
※現代では森林火災を防ぐためLEDライトのロウソクまたはヘッドライトで行う。
・口に櫛(くし)をくわえる。
・腰には護り刀(小型ナイフ)を持つ
・一本歯の下駄(あるいは高下駄・ヒールのある靴)を履く
※無ければ裸足
・胸に鏡をつるす。
・自分で作った藁人形と五寸釘と金槌を用意する。
・藁人形に呪いたい人の髪の毛や持ち物を編み込む。
・藁人形に呪いたい人の名前を書いた札を貼る。

●作法

①神社の御神木または社叢内の老木に、呪いたい相手に見立てた藁人形を毎夜、五寸釘で打ち込む。
※呪われた相手は、藁人形に釘を打ちつけた部分から発病する。
※打ち込む方向は向かって北東(鬼門)に打ち立てる

②呪いは7日間同時刻に毎日行う

③7日目の丑の刻参りが終わった直後に、黒い牛(黒い岩・黒い鬼)がねそべっているのに出会うので、その牛をまたいで帰宅する。
※怖くなってまたげなかった場合は、呪いは成就しない。

●特に注意すること

丑の刻参りをしている姿は、他人には絶対に見られてはいけません。
見られた場合、呪いの効果が自分に返ってくると言われています。

大きな神社、有名な神社では監視カメラなど防犯設備が整っているので、深夜に徘徊するとすぐに警備員か警察官がやってきて職務質問を受けるでしょう。
丑の刻参りに最適なのは、集落から離れた山中にある古い神社が適しています。

●丑の刻参りが成就したその後の人生は?

呪いを行った本人は人生を終えても成仏することはなく、永遠にあの世と現世の間を浮遊霊や地縛霊としてさまよい、人を恨み続けることになります。
または永遠に地獄で炎に焼かれると言われています。
それが丑の刻参りの代償です。

人の恨みは尽きることが無い

この呪いの儀式は7日間行うことが大切とされ、7日間実行すると、呪いをかけられた人は死に至ると言われています。

この呪いは昔から効果が高いと信じられており、今もなお、現代の日本人に受け継がれています。

ではなぜ発見されないのか? 噂にならないのか?

それは人知れず実行することが大切とされているため、人目につかないだけだと思います。
古い神社の社叢に入れば、老木に打ち付けられた藁人形が何体も見つかるかもしれません。

藁人形も雨に打たれるとすぐに腐って朽ちてしまうので、発見される前に土や落ち葉に埋もれてしまいます。見つけるのは困難かもしれません。

さらに現代では、呪術を祈祷師などが代行するサービスもあるらしいです。
それだけ丑の刻参りは、今でも根強い支持を集めている復書方法なのです。

奈良時代の平城京跡の遺構からも、呪術用に使われたと思われる人形が出土しています。
恨みを持った人間の代用として人形を使う呪術は、古くから日本で信仰されてきたわけではありません。
イギリスでは泥人形、北米インディアンは木像、ヨ-ロッパ諸国では蝋人形など、代用呪術として人形は厚い信頼を寄せられているのです。
けっしておろそかにできない迷信なのです。

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