色や臭いが健康のバロメーターと言われる「うんこ」という言葉。
文字にするとなんだか可愛らしいですが、普段から何気に使っている言葉の語源を調べると面白い。
またトイレに一人で入れなかった幼い頃に使っていた「おまる」。語源はきっとその丸い形からきているのだろうと思っていたら、どうも違うらしい。
「うんこ」の「うん」はいきむ声をそのまま文字化した言葉
おまるに座った赤ちゃんといえば、顔をまつ赤にして「ウーン」と声を出していきばる様子が目に浮かびます。
「うんこ」の語源は、いきむ声に接尾語の「こ」を付けた幼児語です。
「おしっこ」のときには、母親が「シー、シー」と声をかける様子からできた言葉です。
ちなみに、「おまる」は、「虎子(まる)」と書きます。
おまるの「まる」とは、大小便を「放る(まる)」から出た語です。
決して形が丸いからではありません。
『神代紀』には「大樹に向いて尿(ゆまり)、放る」と書かれています。
意味は立小便の心地よさよ、ということ。そこから転じて便器をさすようになった。
現在では、おまるを使うのは幼児と病人が多いのですが、平安朝時代の貴人は、金蒔絵で装飾された豪勢な美術品のようなおまるで用を足していました。御町人という女官が宮中にいて、便器を扱う役目をしていたという。
おまるのことを、おかわ、便所のことを古くから厠(川屋・かわや)というが、大昔の便所は川の上に建てられていたから、その様子がそのまま言葉になったといわれています。
現代は洋式トイレが当たり前、そしてウオッシュレットなど快適さにおいては昔の比ではない。
しかし、排池行為そのものに変わりはない。
便意を催すと、人は自然にいきむ。このときの血圧は、ふだんよりも10から20ほど上がり、脈拍は5から10早くなっています。
いきばると、スッキリ気持ちよく出るから「うんこ」とは、よく名付けたものです。
「とんちんかん」は鍛冶屋の相槌を打つ音
「あなたは言ってることと、やってることがまるで、とんちんかんなんだよ」という言い方をします。
「とんちんかんな人」とは、物事がゆきちがって、つじつまが合わない、ちぐはぐである、あるいは、わけのわからないこと、とんまなこと、またはそういう人物のことをいう。
この言葉は鍛冶屋の相槌の、かわるがわる打つ様子を例えた言葉。
相槌の音は「トンチンカン、トンテンカン」と、交互して一緒に揃うことがない、そんなところから来た言葉です。
とんちんかんは、漢字で書くと頓珍漢と書く。
漢とは人という意味で、悪漢、門外漢、珍紛漢(ちんぷんかん)などに同じ。
激石の『坊ちゃん』に、こんな一節があります。
「私は徹頭徹尾反対です!」と言ったが、あとが急に出て来ない。「……そんな頓珍漢な処分は大嫌ひです」とつけたら、職員が一同笑ひ出した。生徒の処分に反対する坊ちゃんのほうが、頓珍漢とみなされてしまったのであった。その後、いろいろあって、坊ちゃんは中学と師範の喧嘩で大暴れ、新聞記事に「無頼漢(ぶらいかん)」と決めつけられて教職を去る。
これこそ、とんちんかんな記事です。