普段なにげに使っている日本語には、全く由来がイメージできない言葉があります。
まぁ使っている時は、日本語の由来なんてことは全く考えることもないですが。
でも、ふとした機会にぼぉーっと字面だけを眺めていると、なんだか面白い言葉だなってことが、たびたびあります。
今でもよく使われる言葉で、歴史にちなんだ由来を調べてみました。
時代劇でよく聞く「ちょこざい」とは、なんのことか?
五条大橋の牛若丸や一寸法師、小さな体でここと思えばまたあちら、縦横無尽の動きで翻弄する小さなヒーローに手を焼く大人が悔しまぎれに口にする「やあ猪口才な小童め、物な言はせず討ち取れ」(『浄瑠璃・絵本太功記』)という場面があります。
『東海道中膝栗毛』京都に、「けたいとは、何がけたいだね」「なにがとは猪口いふてぢゃ。ようおもても見さんせ」というくだりがあります。
日本語の「ちょこざい」とは、なまいきなこと、こりこう、すばしこいという意味であるが、差し出がましいという意味もあります。
ちょこざいを漢字で書くと「猪口才」。略して、「猪口」という場合もあります。
動物の猪(いのしし)を想像してみてください。その口はどんな風に顔面に付いているでしょうか?
大きな顔面に対して、ちょこんと口だけとがっています。
食器の猪口は形が小さく、上が開き、下がすぼんだ陶製さかずきで、「猪口」は当て字です。
そして猪口才の猪口は、食器の猪口から出ています。
本膳料理につく小井や、刺身・酢のものなどを盛る小さい器のことも、猪口と呼びます。
酒のお猪口は、ほんの一口だから、ちょこちょこと膳と口許へ行き来します。
その様子は見ようによっては、ちよこちよこ小うるさい動きです。
おまけに、「まあ、どうぞどうぞ一杯」などと、人のペースを無視してすすめてくる差し出がましい輩もいます。そんなところから猪口才という日本語が生まれたのではないでしょうか。
「いたちごっこ」って、どんな遊び?
「物価と賃金のいたちごっこだ」「違法駐車は取り締まりが終わると、また増える。いたちごっこの現状だ」などということがあります。
いたちごっことは、もともとは電車ごっこ、鬼ごっこの、ごっこで、日本の江戸期に流行した子供の遊びです。
いたちごっこの遊び方は、二人向かいあって、相手の手の甲をっねって、自分の手をその上に乗せ、「いたちごっこ、ねずみごっこ」と唱える。それを交互に繰り返す。
どこがおもしろくて流行したのか、よくわからないが、みていた大人もそう思ったのであろう。やがて両者が一つことを繰り返すばかりで、らちがあかないことを、「いたちごっこ」というようになったそうです。
酒を出せる家が「上戸」、その逆が「下戸」
あなたはお酒を飲める方ですか?
飲めない場合は、お酒の席でお酒を勧められたときに「下戸なので・・・」と言っていると思います。
でも下戸って、全くお酒に関係の無い蛙の鳴き声のような言葉ですが、何に由来するのでしょうか?
酒好き、酒のたくさん飲める人を「上戸」、その反対の人を「下戸」というが、これは奈良時代の律令制の法律『大宝律令』に由来します。
大宝令では、一戸のうちに七人の正丁(当時、二十一歳~六十歳までの男性を正丁といった)のいる家を上戸、二人の正丁しかいない家を下戸といい、租税の負担分をはじめ、生活のすみずみにわたって、両者の間にさまざまな規制が設けられていました。
婚礼の時につかわれる酒量もそうで、『群害類従』に「庶民婚礼、上戸八瓶、下戸二瓶」とあるように、下戸は酒をたっぷりふるまいたくても、それができなかったのです。
そこから、酒の飲める人を「上戸」、飲めない人を「下戸」という言葉でたとえたのです。
本来の「下戸」の意味とは、体質的に飲めないのではなく、飲む酒がなくて飲めなかった人ということになるのです。
また、上戸と同様、酒飲みをいう言葉に「左きき」「左党」があるが、こちらの方は、江戸時代に金鉱で働く人たちから出た言葉といわれている。つまり、金鉱では
左手にノミ、右手に槌をもって働くことから、左手を「ノミ手」といい、それに酒の「飲み手」をなぞらえたそうです。