お茶を飲みたいと思ったときに、急須に入れたお茶を湯呑に注いで飲む様子を想像する人は昭和世代の人かもしれません。
今やお茶と言えば、ペットボトルに入ったお茶を連想する人がほとんどではないでしょうか?
この茶柱が立った、立たないで一喜一憂していた時代も懐かしいものです。
立った茶柱は幸運の印
お茶葉を急須に入れて、熱いお湯を入れて湯呑茶碗にそそぐ。このとき、急須を通りぬけた茶柱が茶碗の表面にまるで立っているかのように浮かび上がると、それは吉兆だと古くから信じられてきました。
なぜ茶柱が立つと、幸先かいいと考えられるようになったのか?
最初は、お茶に関係なく「柱」が縁起の良いものとされていました。
例えば『古事記』の中で、大国主命が妻を迎えて宮殿を建てた際、土台になる石にしっかりと柱を立て、天高い場所に屋根を作るようにとした一節が残されています。
ここから、天高く伸びていく柱は運気が勢いよく上昇する象徴と見なされるようになったのです。
家を建てる時も、支柱となる柱は家の繁栄を象徴します。
まっすぐに立つ柱は、見るだけで気分もよくなります。
茶柱が立つのを見たときに、これは幸先の良い印と思ったのも当然かもしれません。
しかし茶柱は飲んでしまっても問題はないが、お茶を飲む際には不要なものです。
急須などは、茶葉が湯呑茶碗に入りこまないように作られた道具といってもいい。
そんな茶葉の流入を防ごうとするなかで、網の目をかいくぐり湯呑茶碗にそそがれたのが、茶柱です。
普通は急須から出てくることは無いし、出てきたとしても湯呑の底に沈んでしまいます。その茶柱が湯呑の中で、存在感を主張するかのように立った茶柱を見たとき、日本人はいつしか難関をくぐり抜けた幸運の印と見なすのも無理はありません。
たとえ些細なできごとであったとしても、そこから運を自分へと招き寄せたいという日本人の粋な感覚が生み出した迷信だといえます。
茶柱を立てる方法
人為的に茶柱をどうしても立てたいなら、茎の片側をつぶして 次は茎の片側をつぶせばいい。つぶした側が水分を吸収しやすくなって重くなるので、茶柱が立ちやすくなります。
また最近では、縁起物として高確率で茶柱が立つ日本茶を販売しているところもあるようです。
ただ知っておきたいのは、お客様に出す湯呑に茶柱が入ってしまうと、とても失礼なことにあたります。ご注意を。