最近は治安の理由から近所付き合いを敬遠する人もおられますが、地域の治安を良くするのも実は近所付き合いなのです。
昭和以前の時代には、町内の治安維持は近所付き合いがあることで成り立っていたといいます。常に人の目があるので、安心して子どもたちを自由に遊ばせることもでき、さらに一人暮らしの高齢者とも良い関係が築けていました。
これからの社会は、リアルなコミュニケーションを通して人間関係を築くことが大切になります。
だから、最低限知っておいたほうが良いご近所づきあいのマナーを学びましょう。
挨拶ついでに立ち入ったことを聞かない
「遠い親戚より近くの他人」という言葉もあります。
通りなどで近所の方と顔を合わせたら、「おはようございます」「こんにちは」程度の挨拶を交わすのは常識のうちです。このとき「どちらへ」などと立ち入ったことは聞いてはいけません。
近所の人が集まって噂話をしているようなときは、関わらないのがいちばんです。
立ち話をしているうちに、そんな話題になったら、「ちょっと約束があるので……」などと引き下がるか、黙って聞くだけにして、けっして相槌を打たないようにしてください。相槌を打つと、後に、あなた自身がそう言っていたと噂されてしまう可能性があるからです。
ゴミ当番など近所の決まり事にはきちんと参加する
ゴミ当番、リサイクル活動、草とりなど、地域によっては近隣の住民当番や活動がある場合があります。
こうした活動には積極的に参加したいもの。共働きなどで不在がちだったり、時間がとりにくい場合は、「その代わりに記録係ならできるのですが」というように、自分ができることを提案し、協力する気持ちのあるところを示すといいでしょう。
あるいは自治会長などに、「仕事の都合で参加できないのですが」と連絡し、代わりにどうしたらいいかを相談して、指示を仰ぐのも一つの解決法です。
配達ものを預かったとき
最近はほとんど無いと思いますが、もしも留守中の隣家に届いたものを預かったときは、配達人にそれを書いた不在配達票を残してもらうか、帰宅したらすぐに気づきやすいよう、簡単なメモを、玄関ドアにはさんでおくようにします。
留守中に荷物を預かってもらったとき
自分あてに配達されたものを他家に預かってもらったときは、帰宅後、すぐに取りにいきます。
届きものが食べ物なら、少し前までおすそ分けをしていたものです。
おすそ分けする場合は必ず、届いたものをおすそ分けすること。メロンが届いたのに、オレンジを差し上げるなどはかえって失礼になります。
相手の負担にならないおすそ分けとは?
おすそ分けは好意の押し売りにならないように、いただきものがあったときなどに「たくさんいただいたので、召しあがっていただければ」などという言葉を添えて差し上げましょう。こうすると相手に気持ちの負担をかけず、好印象になります。
返してもらわなくてもいいような容器などに入れ、返却不要であることをお伝えするといいでしょう。
「お移り」は必要?
おすそ分けをいただいたときは、以前は「お移り」といって、預かった器に半紙やマッチなどを入れてお返ししたもの。これは福が繰り返し訪れるように、という願いを込めた風習だといわれます。
さすがにそんな風習を知っている人も少ないと思いますが、現在なら、ペーパーナプキンやキャンディなどを適量入れてお返ししてはどうでしょうか。
おすそ分けをいただく度のお礼は不要ですが、後日、お会いしたときなどに「先日の○○、本当においしくいただきました」などとひと言、報告するのがマナーです。
いただくばかりで、こちらからおすそ分けする機会がないというような場合は、半年に一回ぐらい、気持ちばかりのお礼をするといいでしょう。
社宅では、仕事や人事に関する話題は避ける
社宅や官舎の妻同士のおつき合いの基本は、夫の会社の人事や仕事に関する話はいっさいしないこと。
また、夫の職場での地位を日常のおつき合いに反映させるのはマナー違反です。とくに上司の妻の立場では注意が必要です。
隣近所の慶事・弔事は
慶事の場合は、よほど親しくしている場合以外は、外で出会った折などに、丁寧にお祝いを述べる程度でいいでしょう。
結婚する本人を連れてご近所に挨拶に回る風習の地方もありますが、こうした場合は、相手の負担にならない程度のお祝いを用意しておき、手渡すといいでしょう。
弔事は、かつては近隣の手助けを借りて行なうのが普通でしたが、最近は、自宅葬が減ったため、そうしたこともなくなってきました。
不幸を知ったら、おつき合いの度合いに応じて、通夜・葬儀に参列するか、葬儀が終わって、落ち着いた頃をみはからって、お焼香にうかがうようにします。
お香典を用意すると、かえって相手の気持ちの負担になってしまうというような場合は、お線香や花などの供物を持参しましょう。