天ぷらとスイカは一緒に食べてはいけない~日本の迷信~

天ぷらとスイカは一緒に食べてはいけない

食物の食い合わせに関する話題は、食中毒などが増える初夏から収穫の時期を迎える秋にかけてよく耳にするようになります。

特に夏になると、子どもがよく耳にしがちな、食い合わせについての迷信が「天ぷらとスイカは一緒に食べてはいけない」というもの。

お盆の時期、田舎に帰省したときは親せきがご馳走をふるまってくれます。ご馳走と言えば、天ぷらです。
しかしご馳走の天ぷらを食べた後にスイカを食べようとして、祖父母から「今食べるのは良くないよ」と注意をうけたことはありませんか?

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暮らしの中の経験で積み重ねられてきた食の智恵

今は体の不調があれば、スマートフォンで救急車を呼んだり、近くの医療機関へ駆け込むことが可能です。通信手段と交通手段さえあれば、どんなに田舎であろうと医者に診てもらうことが可能な時代です。

しかし、昔はそうではありません。特に田舎になると道路などのインフラが整備されていなかったり、そもそも医者の数が圧倒的に少なく、医療知識も乏しいものでした。
だから自分の健康は自分で守るしかありません。可能な限り病気にならないように、日々の生活に注意を払っていました。

特に食い合わせに関しては、昔から日本人は経験的な知恵を重ねて、体に不調をきたす組み合わせを探ってきました。
ここで紹介した天ぷらとスイカのほかにも、数多くの食い合わせの迷信が生まれています。

平安時代の『倭名類緊抄』には、すでに鯉とネギの食い合わせが悪いことが記されています。

また江戸時代には貝原益軒の『養生訓』にタマゴと辛子、豚肉とショウガなどが、食い合わせの悪いものとして紹介されています。

しかし、これらの食い合わせが本当に体によくないのかというと、医学的根拠はきわめて乏しい。
もし、豚肉とショウガの食い合わせが悪ければ、人気料理の「豚の生姜焼き」はどうなるのでしょう?

食い合わせに関する迷信は、食事だけの観点からでなく、暮らしぶりからくる戒めが含まれていると考えた方が良い。

天ぷらとスイカについていえば、おそらく、天ぷらの油分、スイカの水分をともに摂取することで消化不良を起こしたものと推測できます。
油をとると胃腸は活発に働かなくては消化できません。そこに冷たい水分が摂取されてしまうと胃液が薄まって消化が遅れてしまいます。

昔の人は、そんな経験をもとに食い合わせを考慮したのです。

食い合わせの悪い組み合わせ

悪いとされる食い合わせは、絶対に体調不良にあるというものはありません。適量以上に食べすぎることによって、体が異常反応を起こしてしまうものがほとんどです。
ゆっくりと味わいながら、腹八分以下でご馳走様とするたしなみを大切にしたいものです。

●鰻と梅干し
脂の多いウナギと、酸味の強い梅干しは、両方とも内臓を刺激し、消化不良を起こすといわれています。理由は諸説ありますが、梅干しの酸が脂の消化を助け、相性がよいともいわれているので、食べすぎは良くないということでしょう。

●ほうれん草とゆで卵
ゆで卵に含まれる硫黄分が、ほうれん草に含まれる鉄分と結合して、体内への吸収を妨げてしまうらしい。生卵なら問題なし。

●カニと柿
流通経路がまだ未熟だった時代に、傷みやすいカニと、消化の悪い柿という遠方から運ばれてくる食材の組み合わせは食中毒になりやすいとよく言われていました。医学的にはどちらも体を冷やす効果があるので、食べ過ぎるとお腹を壊しやすい。

●ニンジンと大根
大根に含まれるビタミンCを、ニンジンに含まれるアスコルビナーゼという酵素が破壊してしまうらしいが、熱を加えて煮物に、逆にお酢を加えて紅白なますにすると良い。

●茄子とお蕎麦
どちらも体を冷やす食材なので、食べ過ぎには注意が必要。できればどちらも温かい料理で食べる方がいい。

●焼き魚と漬け物
干物と漬け物ともいわれますが、魚に含まれる物質と野菜に含まれる物質が、胃酸の強い酸によって発がん性物質に変化する可能性があるという。しかしビタミンCがあると変化しないらしいので、ビタミンCが豊富な食材と食べ合わせるのが良い。

●ほうれん草とベーコン
ベーコンは加工食品のため、リンが多く含まれています。それが、ホウレンソウに豊富に含まれる鉄分やカルシウムといった栄養素の吸収を阻害するため、よくないとされる組み合わせ。調理するときにベーコンを先に炒めたり、茹でたりすればリンが減少します。

●レバーとミョウガ
少し苦みのあるミョウガの成分は胃腸の働きを弱めるので、栄養素を豊富に含んでいるレバーの成分を吸収しにくくしてしまいます。
ミョウガを食べるときは、ほかにもたくさんの食材を食べて胃腸の働きが活発になるようにしたほうがいい。

●シラス(ちりめんじゃこ)と大根
シラスに含まれるアミノ酸の吸収をダイコンが妨げてしまうといわれていますが、アミノ酸が豊富なお酢をかけたりすれば問題なし。

●トマトときゅうり
ビタミンCを豊富に含むトマトですが、キュウリに含まれるアスコルビナーゼという酵素は、ビタミンCの酸化を促進してしまうのでよくないとされています。しかし、お酢を含むマヨネーズやドレッシングを使えば、酵素の働きを抑制するので良いとされています。

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