仕事でいつもと違って重要な相談をする時や、相手先がこちらの無理を聞いてくれたり、便宜を図ってくれた時、新たな取引先を紹介された時など、ここぞという商談の際には、「手みやげ」を用意しておく方が良い。
商談の区切りの会食時、双方の関係を円滑にするため「手みやげ」が役立つことがあります。
でもお中元やお歳暮と違って、仕事の現場で渡すものとして、何を持参し、どう贈るべきなのでしょうか?
手みやげ選びのポイント、渡すタイミング、マナーについて考えてみる
先輩から受け継いだ得意先を訪問するにあたり、手みやげを持っていこうと思いついたら、あなたならどうしますか?
もし時間がなかったら、相手の会社の最寄り駅の前にあった洋菓子店に飛び込んで、目についたクッキーを包んでもらって、それを手みやげにすれば良いと考えるのが普通です。
でも、そんな配慮の欠けた品物を渡されて、ビジネスが円滑に進むようになるでしょうか?
手みやげは心と心をつなぐ接着剤であるということを、頭に入れて品物を選んでください。
もちろん、手みやげで物事が決まるほどビジネスは甘くありません。
しかし上手に贈ればいい仕事につながります。
手みやげによって、場がなごむばかりではありません。
例えば「猛暑ですがご自愛ください」という言葉より、手みやげの梅干しの方が、相手の心に響くこともあるのです。
ではどのような品がふさわしいのでしょうか?
先方の好みがわからない場合、洋菓子などが無難です。
個包装で日持ちがするものを選ぶとよいでしょう。
あらかじめ先方が、甘いものが苦手とわかっている場合は、チーズや抹茶などの風味や、スパイス入りの菓子などを入れてもいいです。
相手先の事務所を訪問する際には、事前に働いている人の人数を把握しておくと、分量を間違えないで済むでしょう。
また、相手方の家族への配慮も考えて欲しいもの。
失礼のない範囲で、好き嫌いや家族構成などを聞いておくといい。孫と同居しているなら、子ども向けの菓子を用意すると喜ばれます。
昼時や小腹のすく時間帯の訪問なら、カツサンドやのり巻きなど、ちょっとつまめるものもおすすめです。そしてそれを一緒に食べると互いの距離が縮まるというものです。
相手の新幹線出張前に、移動中に召し上がってくださいと、いなりずしを持っていくのもいいです。
普段から手みやげを探す努力も大切
例えば気になる老舗の商品を買って、事前に食べてみて、自分なりの語れるストーリーを作ることです。
商品の作り手のこだわりや店の歴史も聞いておくと、手渡すときエピソードを語れます。
予算は2000~5000円くらいが適当です。
相手が受け取ることに負担を感じないような価格帯にします。
営業現場で若い人が持参する場合は、高価な品は必要ありません。
個人負担の場合は1回1000円、月3回までなどと限度を決めると続けやすいと思います。少ない負担で相手に自分を印象付けよう。
どんなタイミングで手渡せばよいのか?
訪問先の会議室や応接室に通され、挨拶を終えた時に手みやげを渡すと良いでしょう。
初対面なら名刺交換の後がベストです。
紙袋は本来ほこりよけなので、紙袋から商品を取り出し、箱や包装紙の正面を相手に向けるようにします。
商品に両手を添え、胸の位置で持つとていねいですが、ルールに縛られるより、相手が受け取りやすい渡し方を心がけるといいと思います。
商談成立後などの区切りの会食時に渡す手みやげは、ハムや紅茶など朝食に家族で楽しめるものを選ぶのも一手です。
電車で帰る相手には重いもの、かさばるものは避けましょう。
渡すタイミングは見送り時がよい。
会食の場合は紙袋に入れた品を「紙袋のままで失礼いたします」と言って差し出します。
ただし自分が持ち歩いた袋ではなく、新品を用意し、入れ替えて渡すこと。
手みやげに一言、言葉を添える場合「つまらないものですが」は避けてください。「お口に合うとよろしいのですが」「心ばかりのものですが」の方が印象が良いと思います。
さらに相手先が複数いる場合は、一番目上の人に手渡すようにします。
会食は改まった場なので、どの参加者が一番上の立場になるのか、相手の名刺をよく確認しておくことが必要です。
贈る側も、一番立場が上の人から渡すようにします。