夏の風物詩といえば清涼感のある風流な言葉もありますが、あまり歓迎したくない言葉もあります。
それは「台風」。
字面を見ても、実際の気象現象を想像することはできません。
なぜ、だいかぜという漢字をあてたのでしょうか?
「台風」は、中国語と英語の合体語だった?
夏の終わりごろになると、南の海上と南シナ海で台風が次々と発生するようになります。
「台風」と呼ぶものは、東アジアに起こるものをいい、西インド諸島・メキシコ湾に発生するものを「ハリケーン」、インド洋・ベンガル湾に起こるものを「サイクロン」と呼ぶということをご存じでしょうか。
日本で、この熱帯低気圧を「台風」と呼ぶようになったのは明治も未近くになってから。
一般に広く用いられるようになったのは大正以後で、それまでは単に暴風といっていました。
もっと時代を遡っていくと台風のことを古くは「野分」といいました。
『源氏物語』に「野分にいとど荒れたるここちして」と、いまでいう台風にハギやオミナエシが吹き折られた様子が描かれています。
言語学者の金田一春彦氏によれば、この野分は明治時代になると、冬の木枯らしの異名に変化してしまったという。夏目漱石の小説『野分』は、木枯らしの意味です。
場所が変わって中国では、台風のことを古く「颱風(ぐふう)」といいました。
そして次に、風の前兆となる天気現象のことを風胎というところから、いつのまにか「颱風」という字に変わり、さらに福建省などでは台湾の方から来る風という意味で「台風」とも呼んでいたという。
日本でもこれにならい、颱風という言葉を使うようになったようです。
しかしヨーロッパでは1700年頃には「タイフーン」という言葉があったことから、日本では中国の颱風とタイフーンを合体させて「台風」という言葉を使うようにしたのだとか。
「夏」と「冬」の語源は感覚的なものから
季節の挨拶といえば「暑いですね」や「冷えますね」などがあります。
夏という言葉は、「暑(あつ)」が変化してできました。
冬という言葉は、「冷(ひゆ)」が変化してできた言葉です。