神社で働いている人をどう呼んでいますか?
お寺だったら「お坊さん」「住職」という呼び名がありますが、神社で働いている人々はどう呼べば良いのでしょうか? 「宮司さん」「神主さん」でしょうか?
昔は神様が存在しても、現代のような神社は無かった
毎年各地域の祭りには神興がでて、山車がでて、宵になれば居並ぶ露店に裸電球が風情をかもしだす風景は楽しいものです。
社殿にお参りすれば、併設の小さな舞台でお神楽が演じられたりしています。
こういう神社には必ず、神に仕えている人たちがいます。いわば、神と寝食をともにしている人たちです。
神社は本来、社殿とか舞台といった施設を持たないものでした。
常緑の木を神霊降臨の「依代(よりしろ)」とし、注連縄(しめなわ)や鳥居で境界をつくって、神が降りてくる「神域」を示していただけです。
やがて神がいつもそこにいるように信じ、神社というより社といった趣の神の住まいが造られるようになりますが、専門職としてそこを管理する人はいません。
日々のお世話は土地の人々が持ち回りでしたり、祭りなどの大きな行事があるときには地域ぐるみで力を合わせて行なっていたのです。
神社が社殿などを設けるようになるのは、日本に仏教が伝来し、華麗な寺院があちこちに建立されてからです。つまり、仏教寺院の影響を受けて、今日見られるような社殿などの施設が神社の境内に造られるようになりました。
社殿の登場と職員の組織
寺院で僧たちは仏を拝んで暮らしていたので、神社にも社殿が造られると当然、常駐で神に仕える者がでてきた。これが神職です。
神職というのは、いわば神と参拝者の仲介役です。参拝者に「神はこちらにいらっしゃいます」と案内し、その祈願を伝える役割を担っています。
この神職につく人たちの名称は、神社によっていろいろだったといわれます。
伊勢神宮の神職のトップの呼称は、祭主と呼ばれます。その下に、宮司、大神主、禰宜があります。宮司というのは伊勢神宮で使われはじめた名称で、そのうち他の神社でも使われるようになりました。祭主は、神に仕えて祭りを司る中心的な役割を担っています。宮司以下は役職のような存在です。
明治時代になると、神社祭記は国家の保護・管理のもとにおかれて全国統一の神職制度が作られました。
神職につく者はすべて官吏、すなわち国家公務員である「神宮」とされたのです。
そして神宮の役職が決められ、宮司、禰宜、主典、調官と分けられた。その後、神宮という呼び名は廃止され、神職と呼ばれるようになりますが、伊勢神宮だけは例外です。
ところが伊勢神宮における神宮という呼び名も、第二次大戦後に廃止されます。占領軍によって神社の国家管理が否定されたからです。
以後、神社に仕える者をすべて「神職」と呼ぶようになりました。
神職の種類は、神社本庁によれば、各神社のトップはすべて「宮司」で、その下が禰宜。それぞれ副職として権宮司、権禰宜をおくことができるという。
この宮司が、伊勢神宮で祭主と呼ばれていたものと同じで、神社のトップです。
ただ一般人には神社内の組織や役職は見た目にわからないので、白衣に袴をはいている人は「神主さん」と呼ぶのが普通です。その人が神社の責任者(企業でいう社長)にあたる人だなとはっきりわかっている場合は「宮司さん」と呼んでも良いと思います。