ちょっと問題な行動に関する言葉の語源「しけたつら」「自棄」「うやむや」

人の行動や表情を見て思わず言ってしまう言葉があります。
とくに迷惑な行動をする言葉には、意外な由来があるものです。
日頃から無意識に使っている言葉も、ちょっと調べてみると面白い。

浴衣の女性
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「しけたつら」

『しけたつら』と言えば「しけた顔するんじゃねえ、酒がまずくなるぜ」「どうしたの、しけた顔して」と、陰気でさっぱりしない顔つきや、金まわりの悪そうな様子をさしていう言葉。
「しけた」は「しける」で、湿気るという意味である。

「時化」は、この「しける」からできた語で時化は当て字。
時化は、暴風雨の続くこと、海の荒れることをいうが、転じて時化のために不漁になることや興行などの不入りの状態をいう。

「不漁かして鰹を二本半分くれ」と、不漁を「しけ」と読ませる川柳もあります。
不漁で金まわりが悪く、不景気な顔つきになることから、「しけた顔」の用法になったとする説もあります。

「自棄(やけ)」は「焼け」と同じ意味

「やけを起こすなよ」「やけっぱちで、やけ酒飲むなんて、君らしくないぞ」などと、自分の思いどおりにならないために、自暴自棄な行いをすることを、「やけ」という。

「やけ」を強めた言い方が「やけのやん八」や、「やけくそ」で、やけを起こして腹を立てることを「やけっぱち」という。

これらの「自棄」は「焼け」と同義のことば。
焼けて、ものの形や性質が変わることから、そんな風に変わる人の行動を指していうようになりました。

たしかに焼け出されでもして、焼けて変わり果てた愛着の家や品物を目にしたら、人間の性質だって変わろうというもの。

胸を焦がす意の「焼く」が転じて、物事に行き詰まって、どうにでもなれとすてばちな気持ちになることをいう語になった。
やけのやん八のやん八は、がってん承知の助の同じ類の、人名らしく言ったものです。

「うやむや」

「キミのうやむやな態度にも問題があるよ」「責任の所在をうやむやにする」
このようにありや無しやがはっきりしない、いい加減であいまいなことをいいます。

「うやむや」は漢字では「有耶無耶」と書きます。

「耶」は漢語で、疑問や反語、感嘆などを表す語。
『古今集』に「名にし負はぱいざ問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(在原業平)の歌があるが、「有耶無耶」は、この「有りや無しや」を漢文調に表記し、音読みにしてできた言葉。
物事の結末や態度がはっきりしないときにいいます。

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