感嘆したときに思わず口にする「流石」の語源とは?

流石の語源、喜多川歌麿

信頼している人が期待通りの結果を出してくれたり、かなりこだわって購入した機械が期待以上の成果を出してくれたりすると「流石だなぁ」と思わずくちにしてしまうものです。

「流石(さすが)」という言葉は、<やっぱり>とか<優れているだけのことはある>という感嘆の気持ちを表すのに用いられます。またそう言われるととても嬉しくなります。

でも字面を見ると「流れる石」と書くので、イメージを想像すると川の中をゴロゴロと転がっていく石みたいで、なんとも落ち着きません。
とても前述したような意味を想像できません。

どういう経緯で「流石」という言葉が誕生したのでしょうか?

目次

「流石」という言葉の語源

「流石(さすが)」という言葉の語源は諸説ありますが、代表的なものは以下の通りです。

一つ目は、「流石」が「流石然としている」という表現からきているという説です。 「流石然としている」とは、「自然とそうなっているさま」を表す表現で、自然に素晴らしい状態になっていることを示す言葉です。その後、「然(しか)り」という語尾が省略され、「流石」という言葉が生まれたとされています。

二つ目は、古代中国の詩経に由来するという説です。 詩経の中には「流沙石」という表現があり、これは風化した砂岩のことを指します。砂岩は風化することで美しい模様が現れ、また丈夫であることから、古代中国では美と強さの象徴とされていました。日本にこの言葉が伝わる際、「流沙石」が「流石」となり、美しさや強さを表す言葉として定着したとされています。

以上のように、「流石」という言葉の語源は諸説ありますが、どちらの説も美しさや素晴らしさを表す言葉として、日本語に根付いています。

中国に伝わる故事に由来する説

中国「蒙求(もうぎゅう)」という書に出てくる有名な故事があります。

昔、中国の春秋時代に晋という国があり、そこに秀才の誉れ高い孫楚(そんそ)という男がいました。
孫楚は、世の中を嫌って山に隠居したいと思い、友達の王済(おうさい)に次のように言いました。
本当は「流れに漱ぎ石に枕す(石を枕に寝て川の流れで口を漱ぐような生活をしたい)」と言うべきところを、
「石に漱ぎ流れに枕す(石で口を漱ぎ川の流れを枕にして寝たい)」と言ってしまったのです。
これを聞いた王済が「なにを間違っている。石で口をすすいだり、川の流れを枕にするようなことが出来るのかい?」と言い返しました。
負けず嫌いの孫楚は、屁理屈をこねました。
「流れに枕するのは、耳を洗うためであって、石ですすぐのは、歯を磨くためなのだ」と言ってこじつけたのです。
これを聞いた王済は「とんでもない屁理屈を言う奴だが、なかなかうまいことを言うな。」と大変感心しました。

ここから、感心するときの「さすが」という言葉を「流石」と書くようになった語源です。

「流石」はどのようにして定着した言葉なのか?

一つの説によると、「流石」という言葉は、古くから日本の武士や文人の間で使われてきた表現であり、特に茶道や書道などの芸術においては、高い技術や美意識を持つ人々が、作品や行為に対して「流石」という感嘆の言葉を贈っていたとされています。

また、江戸時代には、歌舞伎役者が舞台で見せた演技や台詞に対して、観客が「流石の役者だ」と称えたことから、「流石」という言葉が一般的に広まったとも言われています。

さらに、現代でも「流石」という言葉は、高い技能や才能を持つ人や、素晴らしい成果を出した人に対して使われることが多く、その人の能力や実績を讃える言葉として定着しています。

なぜ流れる石と書くのか?落ち着かない印象ですが・・・

「流石」という言葉は、漢字の「流」と「石」から成り立っています。「流」は水が流れる様子を表す漢字であり、「石」は固い物質であることを表します。これらの漢字を組み合わせた「流石」という言葉は、固い物質である「石」が、流れる水によって磨かれ、より美しくなっていく様子を表現した言葉です。

また、この言葉は古代中国の詩経の中に「流沙石」という表現があり、これは風化した砂岩のことを指します。砂岩は風化することで美しい模様が現れ、また丈夫であることから、古代中国では美と強さの象徴とされていました。この「流沙石」が日本に伝わる際、「流石」という言葉になったとされています。

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