「24時間働けますか?」が常識だった昭和のサラリーマン。がむしゃらに会社のために働いてきても今では突然のリストラや、心が病んでしまう人もいる難しい時代。いったいサラリーマンとは何でしょうか?
「サラリーマン」とは、日本独自の職業名で、企業などの団体に勤め、給与を受け取る働き手のことを指します。一般的には、会社員や公務員などが該当します。
サラリーマンは、自営業やフリーランスと異なり、団体に所属して働くことが特徴です。また、一般的には、年功序列や役職に応じた給与形態が採用され、安定した収入を得ることができます。サラリーマンの多くは、定時労働制や残業など、一定のルールや規則に従って働くことが求められます。
江戸時代にもサラリーマン的な職業はあったのか?
江戸時代には、現代のサラリーマンとは異なる形態の就労が存在しましたが、一定程度は「サラリーマン的な人」がいたと言えます。
江戸時代には、家来や役人などが主に給与を得るために働いていました。家来は、藩の役職についていた武士の下級職員であり、藩の行政や警備などを担当していました。一方、役人は、幕府や藩などの役所に勤めて、文書作成や行政事務などを担当していました。
彼らは、一定の給与を受け取り、定時に出勤し、指示された業務を遂行するという点で、現代のサラリーマンに近い職業だったと言えます。また、彼らの多くは、長期間同じ場所で働くことが多く、退職金制度なども存在していました。
ただし、江戸時代には、現代のような大企業や会社が存在せず、経済的な自立を目指す人々が多く、個人商店や職人、農家などが主体でした。そのため、現代のサラリーマンと比べると、職業的な多様性や柔軟性は低かったと言えます。
「サラリーマン」の語源
一つは、英語の「salary(給料)」から派生したという説です。この説では、英語のsalaryを音読みした「サラリー」が、日本語において「給料」を意味するようになり、それに「マン」という接尾語がついて「サラリーマン」となったとされています。
また、もう一つの説としては、大正時代に輸入された英語の「salaried man(給料を受け取る男性)」が日本語に取り入れられ、「サラリーマン」という言葉が生まれたという説があります。
いずれにせよ、「サラリーマン」という言葉は、日本での経済発展とともに一般的に使われるようになり、現在では定着した言葉となっています。
「サラリーマン」という言葉が定着する前は、「常雇い」と呼ばれることが一般的でした。
戦前までは、終身雇用制度が確立されておらず、労働者は基本的には年単位で雇われることが多かったため、雇用の形態として「常雇い」という言葉が用いられていました。
しかし、戦後の高度経済成長期に入り、企業が労働者を長期間雇用する「終身雇用制度」が確立されると、労働者の雇用形態を表す言葉として「サラリーマン」が広まるようになりました。
現在では、「常雇い」という言葉はほとんど使われなくなり、代わりに「サラリーマン」という言葉が一般的に使われるようになっています。
変わりゆくサラリーマン
現代でも「サラリーマン」という言葉は、依然として広く使われています。企業に所属し、給与を受け取りながら働く人々を指す言葉として、一般的に認知されています。
ただし、最近では、働き方改革や多様な働き方が求められるようになり、フリーランスや起業家、副業をする人々など、サラリーマン以外の働き手も増えてきているため、単一的な働き方を指す言葉としての「サラリーマン」に対して、若干の変化があるかもしれません。
サラリーマンとビジネスマンとの違い
「サラリーマン」
企業や組織に所属し、固定給をもらって働く人々を指します。つまり、給与が基本的に固定であることがサラリーマンである特徴です。また、終身雇用制度に基づいて、同じ企業で一生を過ごすことが多いという傾向があります。
「ビジネスマン」
広い意味でビジネスに関わる人々全般を指し、サラリーマンに限らず、起業家やフリーランスなども含まれます。ビジネスの世界において、自らのビジネスを展開したり、ビジネスに関するスキルやノウハウを持っていることが特徴です。また、サラリーマンに比べ、自己責任の意識が強く、自己実現や成果主義的な考え方が求められることが多いです。
つまり、「サラリーマン」は企業や組織に所属し、固定給をもらって働く人々を指し、「ビジネスマン」は、広い意味でビジネスに関わる人々全般を指す言葉であり、起業家やフリーランスなども含まれるという点が異なります。
海外の会社員と異なるサラリーマンの働き方
労働時間の長さ
日本のサラリーマンは、長時間労働が一般的であることが知られています。一方、欧米諸国では、法律で定められた労働時間が短く、休暇や休業補償などの制度が整っていることが多いです。
働き方の自由度
日本のサラリーマンは、基本的には会社の指示に従って働くことが求められます。一方、欧米諸国では、自分で仕事のスケジュールを決めたり、自分でプロジェクトを進めたりすることができる場合が多いです。
給与の構成
日本のサラリーマンは、基本給に加えて、賞与や特別手当などが支給されることが一般的です。一方、欧米諸国では、基本給が高く設定されている場合が多く、賞与や特別手当は少ないことがあります。
終身雇用の有無
日本のサラリーマンは、終身雇用が一般的であることが知られています。一方、欧米諸国では、転職やキャリアチェンジが当たり前という風潮があり、終身雇用制度はあまり一般的ではありません。
外国人から見たサラリーマンの印象は
真面目で働き者
日本のサラリーマンは、長時間労働や残業が一般的であることが知られています。外国人から見ると、そのような労働環境にもかかわらず、真面目に仕事に取り組み、熱心に働く姿勢には感心されることがあります。
社会的な責任感が強い
日本のサラリーマンは、会社や組織に対する忠誠心が強く、社会的な責任感を持っていることが知られています。外国人から見ると、そのような社会的な意識が高いことに感心されることがあります。
服装やマナーがきちんとしている
日本のサラリーマンは、会社や組織のイメージを守るため、スーツやネクタイなどのフォーマルな服装や、礼儀正しいマナーを守ることが求められます。外国人から見ると、そのようなきちんとした外見やマナーに好感を持つことがあるでしょう。
自己表現が少ない
日本のサラリーマンは、個人的な意見や感情を表に出すことが少ないことが知られています。外国人から見ると、そのような控えめで内向的な性格に対して、適度な自己表現やコミュニケーションを求める場合があるかもしれません。
以上のように、外国人から見たサラリーマンの印象は、真面目で努力家である一方、自己表現が少ないという点もあることが分かります。しかし、これらの印象は個人差が大きく、あくまで一般的な傾向にすぎないため、必ずしも全ての外国人が同じような印象を持つとは限りません。
サラリーマンの礼儀作法や習慣
日本のサラリーマンには、特有の礼儀作法や習慣がいくつかあります。以下にいくつかの例を挙げます。
挨拶
サラリーマンは、出勤時や退社時などに上司や同僚、先輩や後輩などに対して、挨拶を交わすことが一般的です。また、新年や異動時には、挨拶回りをすることもあります。
名刺交換
ビジネスマン同士のコミュニケーションにおいて、名刺交換は重要な儀礼とされています。名刺は両手で受け取り、一緒に渡す相手の目線に合わせて読むことが望ましいとされています。
上下関係
日本のサラリーマンには、上下関係が強いとされています。上司には敬意を払い、自分より年上や地位の高い人に対しては、謙虚で丁寧な態度を示すことが求められます。
報告・連絡・相談
ビジネスにおいては、報告・連絡・相談のプロセスが重要とされます。報告は自分がやったことを報告すること、連絡は相手に知らせること、相談は決定を下す前にアドバイスを求めることを指します。
飲み会
日本のビジネスマンには、飲み会が欠かせないイベントとして定着しています。同僚や上司、取引先などとの交流を深める機会として、定期的に開催されることがあります。
以上のように、サラリーマンの習慣は、ビジネスにおいて円滑なコミュニケーションを図るために重要な役割を果たしています。
これからの時代の日本のサラリーマン像とは
これからのサラリーマンは、多様化していくと考えられます。従来のように大企業に入社して一生涯同じ会社で勤め続けるというライフスタイルは減少傾向にあり、フリーランスや起業家として働く人が増えている一方、働き方改革やダイバーシティの推進などにより、柔軟な働き方が求められるようになっています。
今後は、自己啓発やスキルアップに積極的に取り組み、自分自身を高めることが求められると考えられます。また、国際化が進んでいく中で、英語力や異文化理解力が重要視され、グローバルな視野を持つことが求められるでしょう。
さらに、テクノロジーの進化により、業務の効率化や自動化が進むことになり、高度な専門性や創造力、問題解決能力などが求められるようになるかもしれません。
以上のように、これからの時代の日本のサラリーマン像は、柔軟性やグローバル感覚、スキルアップへの意識、創造性や問題解決能力などが重視されるようになると考えられます。
サラリーマンをテーマにした人気のマンガ
「働きマン」(著者:安野モヨコ)
都会での仕事をテーマにした漫画作品。松方弘子は28歳で独身。そして、週刊『JIDAI』編集部の女性編集者である。弘子は編集長・上司・同僚たちと一緒に右往左往しながらも良い雑誌を作るために日夜奮闘する。寝食を忘れ、恋人との逢瀬もままならず、ジレンマに悩み、誰かとぶつかり…。それでもいい仕事をするために、弘子は職場で、取材で、そして自宅で、「働きマン」になる。
一所懸命に働く人に、男も女も関係ない。弘子や彼女に関わる人々を通して「仕事とは」、「働くとは」をテーマに描いた漫画。
「島耕作シリーズ」(著者:弘兼憲史)
主人公の島耕作が、大手家電メーカーの課長から会長になるまでを描いた作品です。
島耕作の魅力は、現実の時事問題や経済に沿って話が進んでいくので、過去の作品から読むことでビジネスの歴史を追体験できます。
「サラリーマン金太郎」(著者:本宮ひろ志)
主人公・矢島金太郎のサラリーマンとしての活躍と成長を描いた、漫画家本宮ひろ志による日本のビジネス漫画。学歴がなく元暴走族で今は漁師。人を惹きつける天性の才能を持った矢島金太郎が、サラリーマンの世界をがむしゃらに駆け上がっていく姿を描く。
「いきのこれ! 社畜ちゃん」(著者:結うき。, ビタワン)
ちょっとブラックなIT企業で働くSEの社畜ちゃん。日夜終電と戦う彼女は、人を(おっぱいで)ダメにする先輩さんや元気だけで採用された後輩ちゃんと共に働いている! 日本ではごく普通のサラリーマンコミック。
「正直不動産」(著者:大谷アキラ)
営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーーそんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!!
登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だった。
だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、嘘が上手くつけなくなってしまった…!!
千三つと言われる海千山千の不動産業界でかつての成績が一気に低下する中、永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…不動産屋の裏側を全部さらけ出します。