初夏から晩秋にかけて雲行きが怪しくなると鳴り響く「ゴロゴロ」と言う音。
雷の音と光の怖さは、万国共通です。
そんな自然現象を古代の日本人がそのままにしておくはずがありません。
実に様々な表現へと姿を変えて、現代にその恐ろしさが伝えられています。
雷は本来は「神鳴り」と信じられ畏れられていた!
雷は空中の放電現象と現代では化学的に証明されています。
昔の人々にとって「神様」は天上におられる絶対的な存在でした。
その天上から轟音とともに、鋭い火の矢を地上に落とし、大木を裂き、山を焼いた現象を目の当たりにして「これは神様の怒りの叫びだ」と考えたのも無理ないこと。
だからずっとかみなりは「神鳴り」だと信じられていました。
神鳴りを逆にして読むと「鳴る神」ともいい、狂言『鳴神』の雷さまは、「ゴロゴロ」ではなく、「ヒッヵリヒッヵリ」といいながら登場します。
雲上のヘヴィーメタル
さらに昔は雷神が雲の上にいて、虎の皮の樟をしめ、太鼓を打つと雷が鳴ると信じられいました。
雷神の絵や雷神をまつった神社も各地に残されていますし、伝説や昔話もたくさんあります。
雷神が祀られているのは、京都上賀茂神社の祭神である加茂別雷神が有名です。
雷神は龍神の性格も併せ持つとされ、大地に雨を降らせるので、農業の神様としても崇められています。
仏教界では、風神とペアで行動し、千手観音の眷属として働いていると言われています。
民間伝承にのこる雷神
「雷を真似て腹掛やっとさせ」
「雷も雀が鳴けば終いなり」と、雷は人の暮らし、季節感と深くかかわるものででした。
夏の日におへそを出したまま眠る子供への戒めとして「雷様がおへそを取りに来る」とよく言ったものです。
雷は、いきなり激しく鳴りだし、いさぎよく去ります。雀が鳴き出したら、さあ安心と、昔の子供たちは外へとび出したものです。
また、がみがみいうことを「雷を落とす」とか、「雷声」という。「地震、雷、火事、親爺」の、昔の親
爺は、雷声でよく雷を落としたものらしい。