「菓子はいつ、どうやって食べるの?」「茶わんを回すのはどうして?」。お茶の作法には疑問がいっぱいです。
年末年始、訪問先や寺などで抹茶を供されることもあります。
茶席と聞くと緊張してしまうけど、最低限の予備知識があれば、お茶をおいしくいただけるだけでなく、季節感を大切にしたおもてなしの心も楽しめるようになります。
流派に関係なく、最低限のお茶の作法と意味を知っておきましょう。
茶わん正面避けて飲む、時計は着席前に外す!
茶の作法、これだけ知れば安心
目の前に菓子鉢に入った菓子が運ばれて来る。
もてなす側(ホスト)を亭主と呼び、客は「お菓子をどうぞ」と勧められてから手を伸ばす。
最初にお隣の人に『お先に』と言います。
これは、「お先にちょうだいします」の意味で、同席者への心配りです。
抹茶の入った茶わんを勧められても同様にします。
そして、菓子の器を両手で持って少し持ち上げ、軽く頭を下げ神仏に感謝します。
懐紙(かいし)の輪を自分に向けて菓子鉢の間に置き、箸でお菓子を1つ取ります。
懐紙は、皿やティッシュペーパーのように使うためのもの。
箸は、菓子を置いた懐紙の端でぬぐってから、鉢の上に元あったように戻します。
器を隣の人に送った後、菓子は懐紙ごと口元近くに運び、添えられたようじで切り、軽く刺します。
抹茶を飲む前に菓子を食べきるのが作法です。
この時に使った懐紙とようじは、自分で持ち帰りましょう。
お菓子が食べ終わるのを見計らい、亭主からお茶が運ばれてきます。
先ほどの菓子と同様に隣人に「お先に」と言い、亭主には「お点前(てまえ)頂戴いたします」と言って頭を下げて、軽く茶わんを上げ神仏に感謝を示します。
茶わんは左手にのせて軽く右手を添えます。
飲むときに特に気をつけたいのは、「お茶わんの正面から飲まないこと」。
茶わんは出されたときに、自分の方に向いているのが正面。
茶わんの正面に、絵柄があることも多い。
亭主は正面を客に向けてくれますが、客は茶わんを大切にするため正面を避けて飲むのが礼儀です。
これは化粧などの油分が正面につき、汚れないようにとの配慮からです。
流派によって多少異なりますが、映像で見たことがあると思いますが、2度に分けて茶わんを回します。
飲むのは、一気に飲むのではなく、3口半が理想ですが、前後してもいい。
お茶を飲み終わったら、右手親指と人さし指で軽く飲み口を拭き、手は懐紙でぬぐう。
この時に茶わんは先ほどと反対に回して、正面を亭主側に戻して置きます。
一期一会の心得
お茶の心得でよくいわれる「一期一会」。
今この時間、集う人との関係は二度と同じものはなく、かけがいのないものだという意味です。
だから、亭主のもてなしの心に対して、時間を気にするのは失礼にあたりますから、着席前に時計は外すのが礼儀です。
大切なのは、時を忘れ、和敬清寂の精神を感じること。
五感で釜のシューッという音を聞き、香を楽しみ、道具を眺め、触って、菓子とお茶を味わうのです。
本格的な茶を体験すると、身が引き締まり、すがすがしくなるとよく言われます。
茶席ではお道具拝見も作法の一つ
亭主は四季や歳時記、「平和」などのテーマで、道具を客に合わせて用意しています。これを「しつらえ」といいます。
正式の茶席では、客の代表の「正客(しょうきゃく)」が亭主の思いをくみ取って、しつらえの意味などを尋ねます。
知らないのは恥ではありません。
どんな茶わんで飲ませてくれているのか、掛物の文字は何と読むかなど尋ねてみてください。