日本の風土を生かして昔から様々な調味料や食材のレシピが作られてきました。
醤油や味噌がその代表です。
最初からあったわけではなく、長い年月をかけて人々の味覚に応えるように発展していきました。
和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されましたが、日本人が培ってきた様々な食の仕込み法の語源や由来を考えてみましょう。
お漬け物
お漬け物は和食に欠かせないものです。時にはお酒のおつまみにもなり、日本人には馴染みの深いもの。
この「漬ける」という仕込みの語源は「西瓜を井戸水に浸ける」の浸ける(浸す)の派生語。山形では「積物が水をかづいた」というように、冠水することを、被るの意でカヅクといい、水を冠水させて浸すことをカヅケルといいます。
そのカヅケルが、ツケルと転じながら、冠水させて浸す、ひいては塩水や糠味噌に浸すの意味を表したものでしょう。
味噌
田舎に行くと蕗の茎をすりつぶし、白味噌・砂糖・みりんを加えてすり混ぜた蕗味噌がおいしい名物です。
ミソについての語源は『朝鮮語蜜祖』からと言われていますが、どうもそうではないらしい。
貝原益軒が醤油の項で『中華にも朝鮮にも味噌なし」と言うように、味噌は日本独自の調味料なのです。
ミショ、ムショ、ミー等、味噌の呼び名もいろいろあります。
味醤、未醤など漢字のバリエーションもあります。
だから外来語でなく和語であった様相が濃いのです。
千葉でミショというが、ショは塩を意味します。
愛媛では醤油ノミ、島根ではミーと呼びます。
このことから、味噌の「ミ」とは醤油を絞る元の実(モロミ)の意味と考えられます。
その証拠に香川や徳島では、モロミのことを醤油ノミと言います。
こう考えるとモロミがいつしか新しい調味料として発展して、味噌になった可能性があります。
田楽
豆腐を串に刺して焼き、木の芽味噌をまぶした田楽は、甘辛い味噌が効いてとてもおいしい。
田楽とは、平安中期から室町時代にかけて行われた田植え神事の芸能のことをいいます。
豊作を祈って田植えの時に田楽を舞い、やがて田植え神事とは関わりがなくなりました。
そして舞を楽しむ娯楽として、専門の田楽法師と呼ばれる芸能人が生まれました。
田楽法師が上に色目のものを着て、下に白袴をはいて、高足という棒に鷲足をして乗り舞う姿をみた時、その様子が豆腐に味噌を塗り、棒に刺した様が似ていたので、この形の食べ物を田楽と呼ぶようになりました。