日本酒造りの最盛期である冬がまもなく終わる3月。まもなく酒屋の店頭に、できたての新酒が並ぶ時期になりました。
すっきりとした淡麗系や、ほんのり米の甘みを感じるものなど、全国の酒蔵で魅力的なお酒が造られて販売されています。
最近は発泡タイプが人気上昇中のほか、日本酒に力を入れる飲食店も国内外で増えています。
日本酒の基本を学び、自分好みの1本を見つけてみませんか。
利き酒メニューは、日本酒の入門に最適
「自分の好みはどんな味だろう?」。
ザ・リッツ・カールトン東京(東京都港区)の日本料理店「ひのきざか」で、2月から提供を始めた「利き酒セット」(2000円)が好評だといいます。
日替わりの3種類を、利き酒師の説明を聞きながら飲み比べできます。
日本酒にあまり馴染みのない方は、利き酒をすると「こんなに味が違うなんて」と驚く人が多いそうです。
数万種類ある日本酒
日本酒を造る酒蔵は、全国に1500カ所以上あります。日本酒は、4万~5万種の銘柄が存在します。
全国で生産される日本酒で、一定の条件を満たしたお酒は、ラベルに「純米酒」「大吟醸酒」などの「特定名称」を書くことができます。
日本酒の特定名称は、酒造りの際に米を削った割合(精米歩合)などの基準に応じて8種類あります。
○純米系
アルコールを添加せず、米と米麹(こうじ)のみで醸造したお酒。米由来のふくよかなうまみが特徴で、日本酒の原点です。
○本醸造酒・吟醸酒
醸造アルコールを添加したもの。すっきり透明感のある味が多い。
香りで分類される日本酒
日本酒を味と香りで、4タイプに分ける方法もあります。
華やかな香りの「薫(くん)酒」、フレッシュで軽快な味の「爽(そう)酒」、どっしりとしたコク、複雑な香りの「熟酒」、まろやかな米のうまみがある「醇(じゅん)酒」です。
日本酒には、ワインなどと同様に相性のよい料理があります。
薫酒はヒラメの昆布締め、山菜の天ぷらなど素材の味を生かした料理、醇酒は筑前煮や酢豚、ステーキなどコクのある料理と相性が良い。
飲みやすい日本酒の登場。発泡性の日本酒は米国など海外での人気
日本酒のアルコール度数は15%ほど。「強すぎる」と思う人は、低アルコールタイプを試してもいい。
最近は、発泡性の日本酒も人気。
たとえば宝酒造の「澪(みお)」はアルコール度数が5%。ほんのり甘口で女性にも飲みやすい。
時々の自然環境に左右される日本酒の仕込み
毎年2月上旬になると日本酒「鶴齢(かくれい)」の蔵元、青木酒造(新潟県南魚沼市)では朝6時から酒造りが始まります。
日本酒の原料は米と水。
米を蒸し、麹で米のデンプンを糖化し、酵母の力で発酵させます。
雪や雨が山に降り、長い時間をかけて湧き出した伏流水を、同社は地下80メートルからくみ上げて利用しています。水は酒造りの生命線だから、品質が重要です。
日本酒造りはとてもデリケートな作業で、米の出来具合や気温などで、味やアルコール度数が変わります。
仕込んだ後は、1カ月以上かけて、おいしく出来上がるのを待つ。
はじめて日本酒を購入する人へ
日本酒が初めての人にとっては、数万種あるある銘柄からどれを選べばいいのか、わからないものです。
そんな日本酒になれていない方のために、酒造メーカーや蔵元では、瓶のラベルにメッセージを書いています。
蔵元からのメッセージは、瓶のラベルに込められています。「コクのある辛口」など味わいの特徴や、おいしい飲み方などが書いてあることも。
自分に合う日本酒を探すには、ラベルをよく見るか、酒販店や料理店で店員に聞くといいでしょう。
日本酒のマナー
酒席を楽しむために、マナーも知っておこう。
日本酒はお酌をし合いながら、お互いを思いやって飲むのが作法。相手のおちょこを確認し、3分の1以下になったら勧める。注ぐのは8分目まで。受け手は勧められたら、飲み干す必要はないが一口飲んでから注いでもらう。
注いでもらったらお礼を伝え、一口つけてから杯を机に置きます。一気飲みや無理強いは厳禁です。
お酒を飲みながら食事をし、合間に水を飲みながら楽しむと深酔いをしにくくなります。
自分の適正な酒量を知り、飲み過ぎに注意しよう。
秋から冬の熱かんには、濃厚でまろやかな味のお酒が向きます。
春から初夏には華やかな香り、暑い夏にはフレッシュな味のお酒を冷やして飲むとおいしい。
冬から春にかけては、新酒が店頭に出回るので今年の味を比べるのも楽しい。