遺族は末期の水を終えたあとで、親族や故人のごく親しい友人に故人の逝去を知らせます。この知らせを、計報という。
計報はたいてい、予告なしにくるもの。この計報を受けた場合はただちに、すべてに優先するかたちで故人を哀悼するための誠意ある行動をとりたい。
計報を受けたら、まずお通夜が行なわれる場所に駆けつけること。
時間優先なので、このときの服装は、普段着でよい。すぐに喪服で行くと、用意がよすぎてかえって失礼にあたります。
お通夜の場所で遺族に会ったら、お悔やみを述べたあと、通夜ぶるまいや葬儀にむけての手伝いを申し出ること。
このようにして、親戚や知人があつまってくることによって、故人を亡くしてうろたえている遺族たちの気持ちが落ちついてくるはずです。
香典とは何か?
葬礼の手伝いをした者も、通夜や告別式ではじめて遺族に会う者も、香典を用意するのが習わしです。
この香典は、通夜や告別式に参列するときに遺族に差し出します。
「香典」とは、「故人に手向けるお香の代金」をあらわす言葉です。
香典のお札は、香典袋に入れて袱紗に包んで持参し、あいさつした(弔辞を述べた)あとで遺族に渡します。
このときには、相手が香典袋の文字が読めるように、自分の両手で香典袋の先端に近いあたりを持って差し出します。
故人とそれほど親しくない者は、通夜や告別式の受付の人に渡します。
「めでたい奇数は喜びごとのための数字だから、葬礼には二万円、四万円といった偶数の金額を包む」という考え方も昔はありました。
しかし現在ではこの考えにこだわらず、一万円、三万円などの奇数の金額も香典に用いられています。
故人との付き合いの深さや年齢によって変わってきますが、香典の額は祝いごとの祝儀より多目に包むのが礼儀とされます。
「慶事には少なく、弔事には多く」という考え方もあるぐらい日本人は古くから祝いごとよりも、相手が悲しんでいるときに気づかうことを重んじてきたのです。
お通夜と香典のマナー
◎すぐに駆けつける場合のマナー
●死亡の連絡を受けたら、
・血縁関係の近い親族
・特に親しい友人、
・交流の深かった知人
の場合には、通夜の前にできるだけすぐに弔問に駆け付けるのがマナーです。
・会社関係者
・一般的な知人や友人
の場合には、むしろ準備が整った後、通夜の席に弔問する方がよい。
●派手な服装でなければ、地味めの普段着やそのままの服装でかまいません。
●すぐに駆けつけるので香典などは持参しません。
●親しい友人や知人であれば「何かお手いできることはありませんか」と申し出てもよい。
●長居はしないようにし、お悔やみを述べたら、あらためて出直すことを伝えて帰るようにします。
一般的には玄関先でお悔やみの言葉を述べてすぐに失礼するようにします。
ご遺族への挨拶の例として
「このたびは突然のことで本当に大変でした」
「このたびは本当に突然のことでお悔やみを申し上げます」など。
遺族にすすめられたら上がっ てお線香をあげてもいいです。さらに故人との対面をすすめられた 場合、「お別れをさせていただきます」などと答え、基本的には断らないのがマナーです。
顔にかけた白布は遺族がはずすので、勝手にとらないこと。
遺族が白布をはずしたら、故人に向かって手を合わせ冥福を祈ります。
◎お通夜に伺う場合のマナー
●通知を受けた時には、通夜の日時、会場および告別式の日時、会場を必ず確認します。宗教も忘れずに尋ねておきます。
●香典は通夜または葬儀のいずれかに持参します。宗教によって不祝儀袋の表書きが違うので注意しましょう。
どの宗教でも使えるのは「御霊前」です 。
●到着は通夜の開始10分前には式場に行くのが礼儀です。
◎通夜または葬儀に参列できないときのマナー
●通夜またはお葬式・葬儀に出席できない時には弔電をうちます。通夜または葬式の香典は別途現金書留などで送るようにします。
●弔電 (お悔やみ電報)の宛先は喪主(もしくは「故◯◯◯◯様ご遺族様」)あてになります。宛先の名前はフルネームにします。NTTの電報は115。
●香典はお悔やみの手紙を添えて、なるべく早く現金書留などで送ります。
◎香典の渡し方のマナー
●受け付けでのお悔やみの言葉の例と香典の渡し方
①受付で「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみを述べます。
②受付係が「お忙しいところご会葬頂き恐れ入ります。こちらに記帳をお願いします」などと言いますので、まずは記帳をします。
③記帳を済ませたら袱紗から香典を取り出し、先方から見て名前が読めるように袋の向きを改めて「どうぞ御霊前にお供え下さい」と一言添えて香典を渡します。香典は必ず両手で差し出します。一礼して受付の前を去ります。
●場合によっては、記帳と香典を渡す順序が前後します。
①受付で袱紗から香典袋を取り出し「このたびは御愁傷様です」といって受付係に手渡します。香典は必ず両手で差し出します。
②受付係から「御丁寧に恐れ入ります。こちらに記帳をお願いします」と指示されますので、記帳をします。
③記帳を済ませたら一礼して受付を去ります。