景気が良いと言われても、自分の周りを見ているとそうでもない。ではこの先、良くなっていくのかと思えば、絶対にそうなるとは言い切れない。そんな不安定な社会状況の中では、お金が増えても使わずに貯蓄に回す人が多くいます。
それが現代の風潮なのかもしれません。仕事を終えて夜に貯めたへそくりを数えてみたり、預金通帳を眺めたりするのが楽しみではありませんか?
でも、古くから「夜中にお金を数えると泥棒に入られる」という言い伝えがあります。
その迷信が伝えたいものとは、何でしょうか?
大判小判を数える音が泥棒を呼ぶ?
世の中には、とにかく貯蓄が大好きという人が少なくない。
そんな人にとっては、いま自分の手許にどれくらいのお金があるのかを数えることが快感でしかたがないでしょう。それも周囲が寝静まってから、一人きりで数えるのがたまらないらしい。
夜、預金通帳に並ぶ数字を眺めてはニンマリとする。夜だと周囲に気兼ねすることなく、好きなだけ楽しみを満喫できる。
しかし、日本には古くから語り継がれてきた、次のような言い伝えがあります。
「夜中にお金を数えると泥棒に入られる」。
泥棒に入られてしまうから、夜中に金を数えてはいけないというのです。
この言い伝えが生まれたのは江戸時代のようです。
この時代の金持ちといえば商人です。
その主人は夜中ともなると、使用人が就寝したのを確認して金勘定にいそしんでいました。
ところが、当時の通貨はというと、小判などの硬貨が中心です。
いくら静かに金を数えていても、夜のしじまに「チャリン、チャリン」と硬貨の音が響き渡ることになります。
これでは、外にいる金銭泥棒の標的になるだけでなく、使用人の中にも、主人が貯めた金銭をいただこうと、主人の隙を狙う不届きな輩も出てきてしまいかねない。
そんな状況もあって、夜中にお金を数えるのは、やめたほうがいいという教訓が生まれたと考えられます。
現代では夜中に預金通帳を眺めていても、「チャリン、チャリン」と音が出るわけではないので、ただの迷信だと笑い飛ばすかもしれません。
しかし、安心はできません。預金通帳を夜な夜な見てニンマリするあなたの姿が誰かが見て、「あいつは密かに大金を貯めている」と狙われるかもしれませんから。