気を付けたい箸使いの行儀作法

日本人にとってお箸を使って食事をすることは、しごく日常的なことです。

日本以外にもお箸を使う国はありますが、お箸の使い方にまつわるマナーは日本独特の風習です。

少し前までは祖父母や両親が同居する家庭の中で、子どもたちに伝えられてきたお箸のマナーも核家族化や共働き家庭だったり、母子家庭や父子家庭が増える中でだんだんその作法が継承されなくなってきているようです。

だから、宴席などでついうっかり知らず知らずのうちに、マナー違反をして恥をかいてしまうこともあります。

世界中から和食の文化が注目されている中、日本人として最低限のお箸のマナーは知っておきたいものです。

箸の使い方
目次

知らずにやっているお箸のマナー違反

渡し箸

和食をいただくときの箸使いで、よく見るマナー違反は「渡し箸」です。

箸を使わないとき箸置きに戻さず、器や皿の上に渡して置くことです。

渡し箸をすると、器の上に箸を置くことになるので何かの拍子に転がる可能性がありますから、これは避けたいものです。

逆さ箸

料理を取り分ける際、持っていた箸を逆さにして使った経験はありませんか。

これを「逆さ箸」といいます。

自分が口を付けた部分を避けることはできますが、手で持っていた部分で料理にふれるため、かえって不衛生で、相手に失礼に当たります。

取り分けが必要なときは店の方に、取り箸を頼むといいでしょう。

刺し箸、指し箸、もぎ箸

料理に箸を突き刺して食べる「刺し箸」、話の興が乗ったときなどに箸をつい人に向けてしまう「指し箸」も不作法とされます。箸に付いた米粒などを口で取る「もぎ箸」もタブーなので注意しましょう。

箸の先から何センチぐらいの範囲を使用すればいいのか?

和食の作法でよく言われる言葉に「箸先五分(1・5センチ)、長くて一寸(3センチ)」があります。

長くても箸先の3センチ以内を使って食べなさいという意味です。

例えば食べ物を無理にほお張ると箸先の汚れが広がりがちです。

あまり汚さないように意識すると、所作が美しくみえる気がします。

ただ箸先3センチ以内で食べるのはそう簡単ではありません。

自信のない方は箸袋を千代結びや二つ折りにして、箸置きの下に置いておくことをお勧めします。

食事が終わったら箸先を袋の入り口に入れるようにすると、相手にどのくらい汚したか見られる心配はありません。

その他のお箸の使い方のマナー違反

 お箸のマナー違反は「嫌い箸」や、「忌み箸」、「禁じ箸」と言われ、特に年配者からは嫌われます。

 なぜマナー違反になるのかは、それぞれに意味を持っていますが、見た目が良くないことも、不快感を与えることからという理由が主です。 

<拝み箸(おがみばし)>

「いただきます」のときに、箸を持ちながら手を合わせること。

<返し箸・逆さ箸>

大皿から受け皿に取るとき、お箸の持ち手の方で取ること。

<突き箸・刺し箸>

料理に、お箸を突き立てること。

<仏箸(ほとけばし)・立て箸>

仏式では亡くなった方の枕元に、ご飯をよそったお椀に、お箸を突き立てたものを置きます。日本の風習として、縁起が悪いとさています。

<合わせ箸>

箸から箸へ料理を渡すことや、箸と箸がぶつかることも含みます。

亡くなった方を、火葬した後に、遺骨を箸から箸へ受け渡すことから、縁起が良くないことと言われています。

<叩き箸>

お茶碗を箸で叩くこと。

<振り箸>

お箸についた汁を振り払うように振ったり、相手との話が盛り上がり過ぎて、箸を振り回したりするのは、行儀が悪い。

<指し箸>

お箸で人を指すこと。

<持ち箸>

お箸を持った手で、他の器を持ったりすること。「もろおこし」とも言います。

<受け箸>

お箸を持ったまま、おかわりをすること。

<寄せ箸>

お箸を使って、お皿を寄せること。

<空箸(そらばし)>

一度、お箸をつけたのに、他のものへ移ること。

<移り箸>

ある料理を取ろうとして、急に違うものに、箸が移ること。料理から料理へ移り、ご飯を間に挟まないこと。

<迷い箸>

どれを食べようか、テーブルの上で、選択を迷ってお箸がフラフラすること。「惑い箸」とも言われ、迷っている間、他の人が箸を出せないので迷惑なことです。

また、お箸を持ったまま、どれを食べようか悩んでいるのは、「箸なまり」と言います。

食べながら膳を見回すのも「にらみ食い」と言われ、これも良くありません。

<せせり箸>

お箸で、料理をつつくこと。爪楊枝代わりに、歯に詰まったものを取ることも、含みますので「楊枝箸(ようじばし)」とも言います。

<涙箸>

お箸から雫が垂れることです。

奥にあるものを、お箸を使って取ることを、「膳越し(ぜんごし)」と言い、料理を取るときには、受け皿に取り、お皿を持って食べるのが正式なマナーです。受け皿がない時には、お椀の蓋を使います。

<探り箸>

汁椀の底に、まだ具が残っていないかと、お箸をかき回すのは、マナー違反です。

<洗い箸>

汁椀で、お箸の汚れを取ることです。

懐紙(かいし)を持参するようにして、懐紙で拭くのが行儀が良い。

<ねぶり箸>

関西弁では、舐めることを「ねぶる」と言いことからお箸を舐めて汚れを取る行為をいいます。

<くわえ箸>

そのまま、お箸を口で支えることです。

<かみ箸>

お箸を噛むこと。

<かき箸>

食器に口を付けて、かきこむこと。

<橋箸・渡し箸>

箸休めのときに、器の上で、お箸を置くこと。必ず箸置きや、テーブルに置くこと。

<そろえ箸>

お箸の先を揃えるのに、食器に立てて揃えること。

<すかし箸>

骨つきの魚を食べるときの動作で、上身を食べた後、骨を外さないで、下身を食べることです。マナーとしては、骨を外して頂きます。骨を外すのは、手を使って構いません。

懐紙があるような所では、懐紙を使って、頭を抑え、お箸を骨のしたに滑らせるようにして、骨を取ります。ない時は、素手で構いません。汚れたら、おしぼりで拭きます。

<はね箸>

嫌いなものを、お箸でよけることです。

<重ね箸>

「ばっかり食べ」とも言い、一つの料理ばかり食べることです。

<込み箸>

口の中に、たくさん料理を頬張ること。

<落とし箸>

お箸を落とすこと。食事中は、お箸を落とさないように、落ち着いていただくようにします。

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