田舎に行くと朝、どこからともなくコケコッコーの声で目覚めることがあります。
そうで無くても日常的に卵を食べたり、卵を使った料理を食べている私たちにとって、鶏は鳩と雀と同じくらい身近な鳥類です。
そんな鶏と日本人の関わりを語源の観点で調べてみました。
鶏から連想することといえば、卵、フライドチキンなど食べものばかりではないでしょうか。
それだけ私たちの食生活に欠かせない、身近な生き物です。
鶏の飼育は、各地に鶏の埴輪が発掘されていることからわかるように古くから行われていたようです。
『万葉集』には「庭っ鳥かけの垂尾の」とか「朝明けには俺びて鳴くなり庭っ鳥」とあります。どういう意味なのでしょう?
万葉集が書かれたその頃は、鶏は食用としてでなく、主として時を告げる便利な生き物として飼われていました。
庭っ鳥の「っ」は、「の」の意味で、庭の鳥。
鳴声から「かけ」とも呼ばれていましたが、「腐かけ(くたかけ)」と呼ばれたりしていました。まだ眠りたいのに朝まだきに鳴いて、この、くそニワトリめと怒ったのでしょうか。
「くたかけ」は後には、ただニワトリの意味で使うようにもなり、江戸時代の『近松物語』には「春の夜の夢驚かすくたかけの」と書かれています。
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昔から人の生活に欠かせない鶏の用途
鶏の声とともに起きる生活を昔の人は送っていました。
そして鶏は、合戦や出帆の合図として、あるいは賭博や吉凶を占うための闘鶏用としても、飼われるようになりました。
鶏が鶏肉や卵として、一般に利用されるようになったのは、江戸時代に入ってからである。
やがて、愛玩用にも飼うようになり、見事な尾の長尾鶏や「ちゃぼ」などが作り出されました。
いまは鶏肉になる鶏は、ブロイラー種がほとんど。
逆に昔なら当たり前の「地鶏」が、鶏肉店の高級品になってしまいました。