よく神様にお願いをする時に「◯◯大明神様」と呼んだりしますが、よくよく考えてみるとこの「明神様」って何の神様のことをいうのでしょう?
時代を経て変わってきた神様の総称
古代では神様のことを「大神」と呼んでいました。
明神とは、日本の神の尊称で、天平時代の朝廷で使われていた名神が転じたものといわれています。
名神という言葉は、古く延喜式という967年に施行された律令の細則に出てきます。
延喜式とは、堅苦しいことを言う人をあざけっていうときにも使われます。延喜式の内容は押して知るべしである。
名神ですが、これは神社の格を表わす社格のひとつ。
国家の事変のとき、祈願を行なう臨時の祭りを、名神祭といいます。
名神とは名神祭にあずかる神々で、大社の中から、年代が古く由緒の正しい、崇敬の顧著な神々をいいます。
名神として、全国に285座の神々がいるといわれます。名神大社、略して名神大ともいいます。
明神と認められるためには
名神は、神々の中で古来より霊験が著しいとされる神に対する称号です。
はじめて文献上に登場したのは、『続日本紀』天平2年(730年)10月庚戌条の、渤海からの貢物を諸国の「名神社」に奉ったとあるのが最初です。
さらに名神は、「或は農の為に歳を祷り、或は旱の為に雨を祈る。災害を排すに至り荐(しきり)に徴応有り」とあるように、とりわけご利益に農業の保護が期待されていました。
ある神が名神と認められる条件は、官社に列し(神位を授けられ)、大社に昇格している必要があります。
名神となるには、内印の押された名神に預かる旨の太政官符が、神祇官と所轄する国に下達されるのを待て、とあり、勅許を得てから神祇官の神名帳(これが大成されたものが『延喜式神名帳』)と諸国の神名帳(いわゆる国内神名帳)に記載されるという手続きが定められていました。
仏教伝来で本来の呼び方が変わってしまった
「大明神」は、仏教で(神道に気を使って)呼ぶ神道の神様の呼び方。
「天神・天満宮」とは、菅原道真公を祀るもの。
「天王」とは、神道の神を仏教が呼んだ言葉で大明神と同じだが神様のランクは落ちます。
「八幡大菩薩」とは、神道で言う八幡神を仏教がそう呼んだもの。
「権現」とは、神は仏教の一部で、その神(仏)がこの世に仮の姿で現れているという意味で、神道の春日大社の四神などは春日権現とされ、他にも徳川家康公は東照大権現と呼ばれます。