桃の虫を食べると美人が生まれる〜日本の迷信〜

桃の虫を食べると美人が生まれる

桃には蛾の幼虫である芋虫がつくことがあり、「桃の虫」といわれます。
毛のない芋虫であれば、人間が食べても害はありません。

しかし、いくら美しい子が生まれると言われても「虫を食べるなんて考えられない」と拒否する女性がほとんどだと思います。

実は、この迷信も桃についた虫を本当に食べろと勧めているわけではありません。
ついている虫まで食べてしまうほど、妊婦が桃を好んで口にすれば、美人が生まれるという意味が真意です。

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桃は妊婦に必須の栄養が豊富

桃はほかの果物と比べて、ビタミンA、Bの含有量が多い。
妊婦の健康を維持し、お腹の中の赤ちゃんを育むのに格好の栄養源になります。

桃を食べれば、元気な子が産まれると信じられ、やがて健康な子が「美人」という表現に置き換えられて迷信化していったと考えられます。

余談ですが、桃につく芋虫もミネラルが豊富で栄養価が高い食物です。最近は昆虫食が注目されているから、ネットにはレシピが豊富に紹介されています。

桃に宿る霊力にあやかる

桃は霊力がある果物として信じられています。
おとぎ話の『桃太郎』も、桃の霊力を授かった男の子のお話です。

桃は中国が原産で、中国でも古くから悪い気を払う霊木、魔除けになると信じられてきました。
その影響が日本にも及び、桃太郎のような桃の霊力をテーマにした話が語り継がれました。

『古事記』にも桃の不思議な力にまつわる描写が見られます。
伊邪那岐命は黄泉国から立ち去る際に、追いかけてきた魔物を追い払うために桃の実を投げて、なんとか逃げることができました。桃の実は神の名前「意富加牟豆美命」(オオカムズミノミコト)がつけられました。

桃の表面を触ると産毛がたくさんあります。そこから生まれたのが「桃を食べると毛深い子が生まれる」という今までと違って逆の意味の迷信もあります。

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