ミミズに小便をかけるとオチンチンが腫れる~日本の迷信~

ミミズに小便をかけるとオチンチンが腫れる~日本の迷信~

貸農園の流行やキャンプブーム、家庭菜園ブームなど、2020年代は屋外で土に触れあう機会が増えてきたように思います。
以前は釣りをする時ぐらいしかミミズを目にすることもなくなっていましたが、今はまたミミズを自然にみるようになりました。
それでもゲームに夢中の現代っ子には、縁のない話かもしれませんが、昔から伝わる迷信に「ミミズに小便をかけるとオチンチンが腫れる」というものがありました。

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ミミズは農業の神様

外で遊んでいる最中にミミズを見つけ、オシッコをかけた経験を持つ人は、圧倒的に年配者に多いでしょう。

昔はミミズにオシッコをかけていると、周囲の大人にからかい半分で「そんなことをすると、オチンチンが腫れてしまうぞ」と注意されたものです。

ミミズというと、手足が無く、目も無く、細く長い体をくねらせる姿を見るだけでも気持ちが悪いと思われがちな生き物ですが、実は農村部に暮らす人々にとっては、信仰の対象でもありました。

多くの人は学校で習ったことがあると思いますが、ミミズが土を食べて排泄をしながら地中を這うことによって、土が耕されます。
ミミズの多い田畑ほど良い土壌といわれて農作物の収穫も良いことから、「田畑の神様」と崇める地域もあります。

そんな神様にオシッコをかけるなんて、不時な行為だというのが、この迷信のいわんとするところです。

子供の健康を守るために生まれた迷信

衛生面からこの迷信が生まれたという説もあります。

現在ほど薬が簡単に入手できなかった昔、ミミズを煎じて飲むという民間療法がありました。効能は発熱、腹痛、下痢、歯痛、痔などに効果があると言われていたので、そんな貴重なミミズに、オシッコをかけるとは何事だというのです。

また医療が今ほど発達していなかった頃は、子供が7歳まで成長するのは至難の業でした。病原菌に対する免疫力が無い子供にとって、土の中にいるばい菌は様々な病気を併発します。

しかも子供は泥遊びが大好きです。ミミズが棲むような土壌は、柔らかくて触ると気持ちがいい。つい遊びに夢中になっているうちに尿意を催して、汚れた手のままオチンチンに触れてしまって、そこが腫れてしまうことになるのです。腫れると化膿して高熱が出て、そのまま死に至ることもあったでしょう。

この迷信は、泥遊びは不衛生だから禁じようと諭すために、男の子の大事な一物に異変が起こるぞと警告したと考えられます。

●余談ですが、ミミズの語源・由来について…

ミミズには目が無いが、光を感じる細胞があり、暗いほうへ這っていくため、目で見ることができません。
その意味から「メミズ(目不見)」や「ヒミズ(日見ず)」が転じたとする説が有力です。

ミミズを漢字で書くと「蚯蚓」となり、これはミミズが体を引いて通ったあとが丘のようになることから生まれました。
平安時代の辞書『和名抄』には「蚯蚓 美美須」とあり、ミミズに「美美須」の字が当てられています。

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