昔は男女の出会いから結婚に至るまで、本人たちの意志に関係なく家同士の話し合いで決められていました。だから突然全く知らない異性とお見合いして、数日も立たないうちに結婚ということがあたりまえでした。
それでもほとんどの男女が夫婦らしく暮らしていけたのは、信頼できる仲人の存在や当人たちをよく知る親戚やご近所さんたちなど、人間関係が濃厚な時代だったから間違いもほとんど起きなかったのでしょう。
たとえ夫婦喧嘩がおきてもご近所さんが仲裁に入ってくれたりしたことも普通にありましたし、なによりも夫婦お互いが身をわきまえ、暮らしを通して信頼関係を築き上げることに喜びを感じていたからかもしれません。
現代はマッチングアプリ(婚活アプリ)を利用すれば、AIが相性を診断してくれたり、条件に合う異性とマッチングしてくれます。
それでも結婚に至る最終的な判断は、リアルな場面で会って話をする「お見合い」をしなければなりません。
私も婚活アプリを使って夫婦になったという友人がいますが、実際に会うとアプリのデーターではわからない空気感やフィーリングがあるそうです。
お見合いの歴史
「お見合い」は、日本の伝統的な結婚の形式の一つであり、その歴史は古く、平安時代に始まったとされています。
平安時代は、貴族や武士などの上流階級の人々が、媒酌人を介してお互いの家柄や人柄を調べ合い、結婚相手を探すことが一般的でした。また、婚姻には政治的・経済的な意味合いが強く、配偶者を選ぶことは、家名や地位、領地の拡大などにも関わっていたため、慎重に行われました。
江戸時代になると、一般庶民の間でも、媒酌人を介してお見合いが行われるようになりました。しかし、貧しい家庭では、お見合いの機会がなかったり、結婚相手を探すために自分で旅をしてまわるなど、様々な苦労を強いられることがありました。
明治時代に入ると、西洋文化の影響を受け、恋愛結婚が一般化し、お見合いは次第に廃れていきました。しかし、戦後になってからは、再びお見合いが一部の人々の間で行われるようになりました。今日では、結婚相手を探すための手段の一つとして、お見合いが再び注目を集めています。
「お見合い」の語源や由来
「お見合い」の語源は、漢字の「見合」という言葉にあります。これは、「お互いに相手を見て、相手も自分を見て、合意する」という意味を表します。
見合いの語源は「めあい」、つまり、妻合わすという意味で、もともとは今のような形式ではありません。
まず仲人が両家のつりあいなどを考えて話をすすめ、家同士の話がほぼ決定したところで、仲人は男を伴い、女の家に行きます。
そして、女が茶を出す様子や立ち振舞を男が見て、「これならよし」と自分の妻にするに相応しいと思えば、出された茶を飲むとか、扇子や持ち物を置いてくるという仕組みでした。
これが「妻合わす」ということです。
「出された茶を飲むかどうか」というところに、男の意思が尊重される部分があるものの、女性のほうの気持ちはまったく無視されていました。
かと言って当時の女性たちは、不公平感を感じたり、女性に生まれたことを不幸に思っていたかというと、そうでもないようです。
「家族」「親族」「ご近所」という人間同士のコミュニティの絆が現代と違いますから、お互いに幸せに感じられることのほうが多かったのではないでしょうか。
時代ごとに異なるお見合いの作法
お見合いの作法は、時代や地域によって異なっていました。以下に、主な時代ごとのお見合いの作法を紹介します。
平安時代
貴族の間で行われていたお見合いでは、媒酌人が介在して、家柄や人柄を調べ合い、結婚相手を探していました。結婚式の前には、花嫁と花婿が初めて顔を合わせる「見合い」の儀式がありました。また、婚姻には政治的・経済的な意味合いが強く、慎重に行われました。
江戸時代
一般庶民の間でもお見合いが一般化し、媒酌人を介してお互いに顔を合わせ、会話をすることが一般的でした。男性は、普段よりも正装し、礼儀正しく振る舞うことが求められました。また、お茶や軽食を出し、食事をすることもありました。
明治時代
明治維新によって、西洋文化が日本に取り入れられるようになり、恋愛結婚が一般化しました。お見合いは次第に廃れ、自由恋愛が広まるようになりました。
現代
現代のお見合いは、インターネットや婚活イベントなどを利用して行われることが多くなりました。相手のプロフィールを見てから会うことが多いため、初めて会う際には、軽い会話や趣味などを話し合い、お互いの相性を確かめることが一般的です。また、衣服や外見に適度な注意が払われることも多く、女性は清楚な服装を、男性はスーツなどを着用することが一般的です。
お見合いが良い点、悪い点とは?
お見合いには、良いところと悪いところがあります。以下に、代表的な良いところと悪いところを紹介します。
【良いところ】
結婚相手を探すための効果的な手段:お見合いは、結婚相手を探すための手段として、古くから利用されています。婚活サイトや婚活イベントなど、現代では様々な形態でお見合いが行われていますが、相手の条件や趣味、ライフスタイルなどを事前に知ることができ、効率的に結婚相手を探すことができます。
相手と直接会って話をすることができる:お見合いでは、相手と直接会って話をすることができます。電話やメールなどでのやり取りではわからない、相手の雰囲気や印象を肌で感じることができます。また、お互いのコミュニケーションスキルや話し方、性格などを確認することができます。
【悪いところ】
お互いがストレスを感じることがある:お見合いは、あくまでも相手を探すための手段であるため、無理に気に入らない相手と会うことになることがあります。また、相手が求める条件に合わせて自分自身を偽ったり、相手に合わせて話を合わせたりすることがあるため、お互いにストレスを感じることがあるかもしれません。
相手の素性や目的がわからない場合がある:婚活サイトなどを利用してお見合いをする場合、相手の素性や目的がわからない場合があります。詐欺やトラブルに巻き込まれることがあるため、十分に注意する必要があります。
以上のように、お見合いには良いところと悪いところがあります。効果的に利用するためには、自分自身の目的や希望を明確にし、相手の素性や目的についても十分に調べることが重要です。
お見合いで夫婦になった人の離婚率は
お見合いで夫婦になった人の離婚率は、一概に言えるものではありません。お見合いで結婚した夫婦でも、離婚する場合がありますし、逆に結婚生活が長続きする場合もあります。
ただし、日本国内の調査結果からは、お見合いで結婚した夫婦の離婚率が比較的低いことが示されています。たとえば、2015年に公表された国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、お見合いで結婚した夫婦の離婚率は、出会いの方法が自然な方法(知人紹介、学校・職場などで出会った)の夫婦よりも低い傾向にあるとされています。
このような結果が出ている理由としては、お見合いを通じて結婚する場合には、相手の性格や家庭環境、将来の希望などについて、事前によく話し合いをすることができるため、結婚後に互いに不満や誤解が生じることが少ないということが挙げられています。
ただし、離婚率には個人差があり、お見合いで結婚しても必ずしも幸せに暮らせるとは限りません。結婚をする場合には、相手とのコミュニケーションや価値観の合致、お互いの努力や配慮が重要になります。
お見合いは家族同士の政略結婚?
お見合いが政略結婚であるかどうかは、その時代や地域によって異なります。
歴史的には、日本や欧州の一部の貴族階級において、政略結婚が行われることがありました。政略結婚とは、政治的な利益や家柄の向上などを目的に、親族や社会的地位が近い相手との結婚が決められることです。このような場合には、お見合いもその手段の一つとして用いられることがありました。
しかし、現代の日本では、お見合いが政略結婚であるというわけではありません。むしろ、お見合いは、相手の人柄や価値観などを事前に把握することができ、結婚に必要な多くの情報を得るための手段として位置付けられます。また、結婚に際しては、自分自身や相手との将来を見据え、お互いの意思や感情に基づいて決めることが一般的です。
つまり、お見合いが政略結婚であるかどうかは、その背景や目的によって異なりますが、現代の日本においては、政略結婚というよりも、むしろ相手をよく知り、結婚に向けた慎重な選択をするための手段としての側面が強いといえます。
お見合いではどんな会話をするのが良いのでしょうか?
お見合いでの会話の内容は、相手との距離感や状況によって異なりますが、一般的には以下のようなトピックが話題になります。
・結婚について
お互いに結婚に対する考え方や、将来のビジョンについて話し合います。具体的には、結婚の目的や理想の家庭像、子育てや家事分担の考え方などが話題になることがあります。
・趣味や嗜好について
相手の趣味や嗜好について聞いたり、自分自身の趣味や嗜好を話したりすることがあります。趣味や嗜好が合うかどうかは、将来の生活においても重要なポイントになります。
・学歴や職業について
お互いの学歴や職業について話し合い、尊敬できる点や興味を持てる点などを探ります。また、将来の仕事やキャリアについても話し合うことがあります。
・家族や友人関係について
相手の家族構成や友人関係について話し合うことで、相手の人間関係を知ることができます。また、自分自身の家族構成や友人関係についても話すことで、お互いのバックグラウンドを知ることができます。
・その他のトピック
趣味や嗜好、学歴や職業、家族や友人関係など以外にも、お互いの興味関心や普段の生活、趣味の話題なども話題になることがあります。ただし、相手に不快な印象を与えるような話題は避けるようにしましょう。