ストレス社会と言われる現代、安眠ために高機能枕を求める人は多く、中にはオーダーメイドで枕を販売するメーカーや店舗もあります。
それだけ大切な枕でも、足で踏んだり、修学旅行などで枕投げをしたりと、つい粗末に扱ってしまうことがあります。
しかし、昔から日本人は枕を粗末に扱ってはいけないと言ってきました。
目次
枕には神様の魂が宿っています
「枕を踏むと頭痛持ちになる」というのは、枕を粗末に扱ってはいけないことを意味する古くから伝えられてきた迷信です。
枕を踏んだり投げたりすることは、絶対にやってはいけないこととされていました。
日本人が枕を大切にと考えてきた理由は、枕に頭を乗せて眠っている人の魂は、体から抜け出て、枕に宿っていると信じられてきたからです。
「枕」という言葉の語源は、魂が詰まった蔵のようなものを意味する「魂蔵」から来ています。「魂蔵」がなまって変化し、枕と呼ばれるようになりました。
そんな大切な枕を粗末に扱うと、魂が寝ている間も揺れ動いてしまい、頭痛持ちになってしまうと考えられたのです。
見つからない遺体の代わりとして使われた枕
寝ている人の魂が宿るという枕信仰は、時に人の遺体の代わりとして枕が使われていたことがありました。
日本の漁村などでは、船が遭難して遺体が発見できなかったときは、葬儀でその人の枕を埋葬する風習がありました。
睡眠中に人は夢を見ることがあります。
昔の人は枕元には枕神がいて、夢はそのお告げであると考えてました。
朝になると自然に目が覚めてすっきりと一日のスタートを切ることができるのも、この枕神のおかげなのです。
さらに神が宿る枕を粗末にしていると、枕神が地に堕ちて「枕小僧」「枕返し」といった妖怪に変化するとも信じられていました。
だからこそ、枕を大切に扱い、幸運を招き寄せようとして迷信を言い伝えてきたのです。