臨終を迎えて末期の水のあと、死者の遺体を清めて通夜の準備を行ないます。
現在では、このあたりの作業を葬儀社に行なってもらうことが多いので遺族が遺体を触ることはありません。
遺体は、丁寧にぬるま湯で体を洗う「湯潅(ゆかん)」を行なったのちに、白い死装束を着せられます。
仏式の葬儀では、死装束は旅装束のかたちをとることが多いが、正式な神葬ではさらしを浴衣のような形に縫ったものが使われます。
しかし、いまでは亡くなった人が愛用していた寝巻きや浴衣、あるいは紋服、白無垢を死装束にすることも多いという。この場合の死装束は、白服でなくてもよいとされています。
そして死装束を着せられた遺体は、用意された棺桶に納められます。
棺桶は、一般的に桐などの白木でつくられていて、組み立て式のものや、彫刻が施された物など価格によっていろいろな種類があります。
目次
釈尊の入滅のかたちを真似した「北枕」の風習の起源
棺桶は、ふつうは頭を北方に向ける「北枕」で安置されます。
これは仏葬のやり方ですが、昔は仏葬が定着したとき「北枕は死者の寝方である」とする考えが広まり、北枕は不吉なものと言われるようになりました。
それが常識となり、神葬でも仏葬にならって、北枕がとられるようになりました。
そして棺桶を安置したら、その前に亡くなった人をまつるための祭壇をこしらえます。
釈尊は頭を北にして、顔を西に向けて入滅(釈尊や高僧が逝去すること)したと伝えられています。そのために、仏教徒は釈尊にあやかって悟りの境地に達したいと望んで、自分の葬礼を北枕で行なってほしいと考える人が増えて来ました。
これが北枕の起こりです。
日本の北枕の葬儀は、亡くなった人を「仏様」として尊ぶ習慣と、深くかかわるかたちでつくられた風習なのです。
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