家の中で傘を差すと運が開けない~日本の迷信~

家の中で傘を差すと運が開けない

時代劇などを見ているときに、浪人となってしまった武士が、その日の暮らしを維持するための内職として傘張りをするシーンがよくあります。

この迷信の源は、江戸時代の天下泰平の世に遡ります。
剣一本で立身出世の夢が叶った戦国時代であればよかったのですが、多くの武士が主家を失い浪人となりました。

浪人になると、毎日の食い扶持にも事欠きます。彼らは、慣れない内職をしながら日々の生計を立てるようになりました。その代表的な職が傘張りです。

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武士のブライド?傘張りにこだわった浪人たち

内職には草畦を編むという仕事もありました。
しかし浪人たちは、人に踏まれるものを作るよりは、人の頭の上にさす傘を作る方が良いと考えて傘張りにこだわりました。
これは身が落ちぶれても、武士としての高いプライドがあったからです。

もともと傘は雨よけの道具としてではなく、身分の高い人が家来に差させて歩く「おおがさ」にルーツがあります。
そのため、傘は身分の高い人しか持つことができない高級品だったのです。

傘の販売価格は高価で、内職もそれなりの稼ぎになりました。

元禄時代になると今のような折りたたみができる番傘が誕生して、やや庶民的な道具となったものの、傘は米一升と同等の値打ちで評価されていたのです。

プライドを守ることができるうえに懐が暖まるというので、浪人たちが傘張りにこだわったのもこうした理由からです。

そんな大切な道具である傘を、用もないのに家の中で開くようでは出世などできるわけがない。つまり運は開けないと言われたことから、この迷信が生まれました。

現代では300円ほどで傘が買えて、雨が上がれば捨てられるようになり、中国産の質の悪い傘ばかりでは、この迷信の由来を知っても実感がわかないと思います。
良いものを持つことで、人の心も豊かになり、物を大切に扱う気持ちも育まれるのかもしれません。

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