裸のままでいると雷様にヘソをとられる~日本の迷信~

裸のままでいると雷様にヘソをとられる
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雷様は童の姿をして臓物を抜き取る神様?それとも怪物か?

夏から秋にかけて真っ黒な入道雲が空を覆ったと思ったら、稲光とともに空を引き裂くような大きな音が響き渡ります。遠くの方で聞こえてきたと思ったら、だんだんと近づいてくる様子は、本当に恐ろしいものです。

八百万の神を信じる想像力豊かな日本人は、雲の上で雷様が太鼓を鳴らしているんだと考えました。

雷様といえば、頭に角が生えて髪を振り乱した荒々しい風神雷神を思い浮かべる人もいれば、マンガに描かれた姿を思い描く人もいると思います。

虎の皮のふんどしや、背負った太鼓を打ち鳴らす様子は、いつの世の子どもたちをも時に怖がらせ、時におもしろがらせてきました。

今の若い人にとっても、豪雨の中、爆音とともに落ちる雷がさく裂したさいには、オヘソを取られたのではないか?と確認することでしょう。

なぜへソが狙われるのか?

それは、へソから霊魂を抜き取るためだと言われています。

雷が雲と地表の間で起こる放電現象であるとは知らなかった昔の人々は、不可思議な雷鳴や稲妻に畏敬の念を抱き、崇めるようになりました。
神の怒りを示す「神鳴り」と考え、雷様を祀るようになったのです。

この雷神は水神とかかわりが深く、農耕神とされました。
水神のなれの果てと言えば河童です。

河童は人を水の中に引きずりこみ、肛門にあるとされる尻子玉を抜いたり、臓物を抜き取ったりすると言われている妖怪です。

いずれも霊魂を奪われるという意味で、雷神も童のような姿をしてへソから臓物を抜き取ろうとすると考えられました。

へソは母胎で栄養を得る管がつながっていた部分であり、霊魂が入り、生命を維持する大切な部分と見なされていたので、とても大切な体の一部です。

昔の人がヘソの緒を大切にとっておくのも、大病をしたとぎに煎じて飲ませれば、弱った霊魂を力づけ、助かると信じられてきたからでした。

さらに、雷の鳴るような気象条件では気温が急に下がるため、お腹を出していると風邪を引いてしまう。
そこで子どもたちが裸で走り回っていると、早く服を着せるために「雷様におヘソをとられるよ」と親に戒められるようになり、その迷信が全国に広まりました。
今日まで言われ続けているのは、それだけ子供をおとなしくするには効果的だったからでしょう。

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