食事、料理中に無意識に使う言葉には、調べてみると意外な由来があるものです。
「ごちそうさま」を漢字で書くと「ご馳走様」ですが、食事はゆっくり食べるのがいいのになぜ「走る」という文字が使われているのでしょうか?
また何かを行うときの要点を意味する「コツ」は、実は意外な漢字があてられていました。
それを知ると様々な言葉の成り立ちに、興味を持つことでしょう。
ごちそうさま
ごちそうさまを漢字で書くと「ご馳走様」となります。
字面だけ見ていると、美味しく食事を堪能したあとに口にする言葉としては、なんだかせわしない印象が残ります。
あせって、急いで食べましたっていう感じでしょうか。
「馳走」とは本来は、かけ走るという意味で「奔走」と同義です。
今とちがって冷蔵庫も近所のスーパーもない時代の人は、客をもてなすためには、材料を求めに走り、井戸から水をくみ、かまどにマキを整えて…と、それこそかけまわって準備をしました。
そのかけまわるという意味から、もてなしの意味になったが、そもそもは食物以外のことにも使っていました。
今でも、客がもらい風呂をする場合などに、「ご馳走になります」とか「じゃ、呼ばれます」ということがあります。呼ばれるという語も、ご馳走にあずかることをいう。
このように、客を迎えるために走りまわることから、ふるまい、饗応の意味になり、そのためのおいしい料理をいうようになったのです。
また、夫婦仲のよいのを見せつけられたときにも「ご馳走さま」といいます。それも、もてなしの内という意味からそう言う風習が根付いたのです。
料理の「コツ」は「骨」を指す?
「~~のコツ」と言えば、何かをするときに上手く行えるようにする重要ポイント、勘どころ、要領のことをいいます。
でも、もともとは漢語の「骨」から来ている言葉。
骨といえば人体の基礎。
骨がなければ人も立つことができず、タコのようにふにゃふにゃと移動することになります。
また骨というのは身体の骨組みを指すだけではなく、広く芸道などの形の基となるものの意味とそても使われ、その道の奥義、要点をいうようになりました。
それが転じて、「骨」という言葉は物事の勘どころなどの意味になっていったのです。
しかし、骨という字をそのまま当てたのでは、日本語としてはなじまないと考えられたのか、カタカナで「コツ」と書くか、「こつ」と書くのが一般的になりました。
さらに「骨」は、人体における骨格の如く、物事の中心となる物だから、骨のつく字も、意味はみな、そこからきています。
論文の骨子といえば要点、骨法は骨組み。気骨は、信念があり、人の意に屈しない意気など。