「~助」って付いているから私は人の名前が語源なんだろうか?って勘違いしていました。正しくは「合点承知の助」とは、相手の意見や命令を理解し、その内容に同意する旨を示す敬語の一つです。
一般的には、「合点(がってん)」は相手の主張や意見が理解できたことを示し、「承知(しょうち)」は相手の指示や命令を了承したことを示します。また、「の助(のすけ)」は、尊敬語の一種である「の」に、呼びかけをする相手の肩書きや役職などを加えた敬称です。
つまり、「合点承知の助」とは、相手の意見や命令を丁寧に了承し、その旨を示す表現として使われます。
そして「合点」の読み方は「がってん」と「がてん」の2種があります。
納得出来ないことがあると「それは合点(がてん)がいかない」と言います。
物事に納得すると「合点(がってん)だ」と言います。
「合点」は、使う場面によって読み方が変わる面白い言葉です。
「合点がいく」の由来
「合点がいく」という言葉は、何かを納得したり理解したりするときに使われる表現です。
この言葉の由来については、諸説ありますが、一般的には、江戸時代に生きた儒学者の林羅山(はやし らざん)が提唱した「格物致知(かくぶつちち)」の思想に関連しているとされています。
「格物致知」とは、物事を見ることで、知識や理解を深めることができるという考え方で、具体的には、物事を観察し、その本質をつかむことで、深い理解が得られるとされています。
この思想に基づいて、「合点がいく」という言葉が生まれたとされています。つまり、物事の本質をつかみ、理解したことで、納得がいき、心が合うという意味合いが込められているとされています。
もう一つの説は、中国語の「合點(gě diǎn)」が日本語に伝わったというものです。
「合點」とは、古代中国の算術用語で、計算の過程で複数の数値を合算することを意味しています。つまり、複数の点を合わせることで、総合的な結論を導き出すという意味です。
「合点」とは、和歌、連歌、俳譜などの用語
「合点」という言葉は、和歌や連歌、俳譜などの文学においても使用されている用語の一つです。
和歌や連歌においては、「合点」という言葉は、詠み人が詠んだ句や連歌の各句が全体としてまとまり、意味や韻律が整合性を持ち、美しく調和することを指します。
また、「合点」という言葉は、俳譜においても、俳句の各句が独立しているだけでなく、全体として意味が通じ合い、調和がとれていることを指します。
そして和歌の中には、「合点」を連想させる表現が存在します。
例えば、「つれなき人を はかなくも見つつ さざれ石の いろにそめし われはこぬも」(源氏物語より)という歌には、「さざれ石の色に染められたわたしは、つれない人を思いながらも、心の中で納得している」というニュアンスが含まれています。
このように、和歌の中には、物事を見極め、納得するという「合点」をイメージさせる表現が含まれていることがあります。
また、和歌は言葉の選び方に美意識があり、深い感情や思想が込められた作品も多くあります。そのため、和歌を読むことで、「合点」をつかむことができることもあるかもしれません。
合点は落語にもよく使われる言葉
落語には、物語の中で「合点」という言葉が使われる話がいくつかあります。
例えば、「初雪」では、男が返済に苦しんでいる借金の話で、兄から「合点がいかねば、気持ちの整理がつかぬ」と教えられ、自分なりに納得のいく決断をするように促されます。
また、「ぐらしのなか」では、主人公が町内会の役員を務めている際に、住民たちの意見をまとめることができなくて苦しんでいるときに、「合点がつけば、あとは楽勝じゃ」という言葉が出てきます。この話では、「合点」という言葉が、物事を理解して整理することが大切だというメッセージが含まれています。
「寿限無」では、お寿司屋さんの板前が、お客さんから注文された料理を一品ずつ作りながら、最後に全体のバランスを考えてメニューを完成させる過程が描かれています。この中で、「合点」という言葉が出てきますが、料理を一品ずつ作りながらも全体のバランスを考えることで、最終的には料理の美味しさやバランスが整うことが伝えられています。
落語の中での「合点」という言葉は、物事を整理し理解することが大切であることを教えるメッセージを含んでいることが多いです。