どんぶりの由来は猫どんぶりにあった?奇抜な語源

どんぶりの由来は猫どんぶりにあった?奇抜な語源

牛丼、親子丼、天丼と日本人は丼物が大好きです。
うどんやらーめん、お蕎麦などどんぶりは家庭料理にかなり活躍します。
この「どんぶり」という食器は、もともと日本にあったものなのでしょうか?

目次

「どんぶり」は山寺の和尚が猫をある入れ物にいれたことから

どんぶり鉢は、韓国から日本に渡ってきたらしく、『万宝全書』の「高麗焼物之類」に、「どんぶり鉢」が輸入された記録があります。
その他の古書にも「本邦器物中に丼あり」「近世井といふ器出てあまねくもてはやさる」とあります。

さて、「どんぶり」という言葉は、もともとは駄荷袋(だにぷくろ)がなまった語の、だんぶくろからきたといわれています。
童謡に山寺の和尚さんが、猫を「だんぶくろ」に押しこんで、とあるが、だんぶくろとは布で作った大きな袋のこと。段袋・駄袋と書く。深い鉢の中に、ご飯でもめん類でも、たっぷりと盛り、天プラやうなぎを乗せてふくらんだ形は、だんぶくろににていないこともないが…。このだんぶくろが、転じて「どんぶり」になったという。
ちなみに、職人さんの着ける腹がけの前かくし(物入れ)も、どんぶりという。

また丼は、井戸の中に落ちた物が水面で発する音に由来し、漢字の『丼』も井戸に物を投げ込む様子を現すと言われています。

日本的ファーストフードの原点「丼物」の由来

丼物の起源は、室町時代から始まります。
室町時代に、ご飯の上に味付けした具をのせて食べる飾り飯「芳飯(ほうはん)」というメニューを生み出しました。
これが丼もののルーツと言われています。
今の料理の原点は精進料理にあるといわれますが、丼物も元は寺院で食したもので、細かく切った野菜や乾物に味付けをし、ご飯の上にのせてすまし汁をかけて食べていたという。

現代と同じように親子丼や様々な丼物が庶民の間で食べられるようになったのは、江戸時代になってから。
元禄年間(1688~1704年)に庶民の食事が1日2食から3食となり、江戸時代後期にかけて醤油が庶民の食生活に定着すると、うどん・蕎麦・天ぷら・寿司・鰻などの屋台文化が栄えました。
そして蕎麦屋・居酒屋・寿司屋・てんぷら屋・料亭といった店舗が営業されるようになりました。

享保年間(1716~1736年)以降に「蕎麦屋」という呼び方が一般化。
それ以前は「慳貪(けんどん)屋」と呼ばれ、饂飩(うどん)と蕎麦を一緒に商っていました。
「慳貪屋」で使われる鉢は「慳貪振り鉢」と呼ばれており、その名が変化して「丼鉢(どんぶりばち)」になったという説があります。

文化・文政年間(1804~1830年)になると、「どんぶり」が器として用いられるようになり、蕎麦屋などで盛んに使用され始めます。
やがて芝居小屋で賑わう日本橋葺屋町の鰻屋「大野屋」で、どんぶりに熱い飯を盛って、その間に蒲焼きをはさんだ「鰻めし」が登場。
「鰻めし」は高級料理で、庶民向けには鰻の蒲焼きを上のせする「うな丼」ができました。
この「うな丼」が丼ものの起点であり、安価な庶民向けの食として定着していきました。

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上方(大阪)では「ひつまぶし」、江戸(東京)では「うな丼」という形態は、江戸後期に既に形作られていたようです。
「焼く時に付けるたれは、江戸は醤油にみりんをまぜ、京坂は醤油に諸白(もろはく)酒をまぜる」ともあります。

日本で最初の親子丼の誕生

親子丼を考案したのは日本橋の老舗料亭「玉ひで」です。
「玉ひで」は宝暦10年(1760年)に現在の人形町で軍鶏専門店として創業。
〆た鳥を血を見せることなく骨と身に切り分け、肉に手を触れることなく薄く切るという家伝の技を一子相伝で伝え評判となりました。

この「玉ひで」で明治20年代、馴染みの客が鳥鍋の残りの割下に卵をとじてご飯にかけて食べるという楽しみ方を始め、ここから日本初の「親子丼」が考案されました。

日本で最初の牛丼のはじまりは、吉野屋が起源だった!

開国に揺れる幕末、外国人居留地として栄えていた横浜の居酒屋で牛の煮込みを売り出したのが始まりとされています。
明治になり牛肉も日本の食生活に馴染みだして、1899(明治32)年に大手牛丼チェーンの吉野家の前身、「吉野屋」が松田栄吉によって、当時日本橋にあった魚河岸に開かれました。
店名の由来は、松田が大阪吉野町の出身だったことからつけられた。
牛飯を「牛丼」と呼び始めたのも吉野屋が最初だと言われています。

牛丼の味付けは当初、味噌味でした。
明治時代半ばに東京で流行った牛丼も、モツなどの臭いを消すために味噌は欠かせないものでした。

一方、関西では味噌味の牛丼は流行らず、牛肉の鍋として、現在と同じ醤油味のすきやきが食されていた。
関西には昔から家畜として但馬牛が飼われており、新鮮な牛肉が手に入りやすかったことも、醤油味での調理を可能にしたのではないだろうか。

1923(大正12)年の関東大震災で東京が壊滅的な被害を受け、多くの牛鍋屋、牛丼屋が閉店。
そこへ関西風のすきやきが持ち込まれ、現在のように醤油味になったのです。

以上、どんぶりの由来は猫どんぶりにあった?奇抜な語源でした。

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