徒花、あられもない、行火など懐かしい日本語の意味と語源を学ぶ

現代でも使われている言葉から、もうほとんど使われなくなった言葉まで、美しく懐かしい日本語をまとめたい。

あの女優は時代の徒花だね。あの女優のあられもなく肌を露出している。こんな寒い日は行火を用意しようかな。

これを読まれている人の中で、実際に同じように表現したり、または年上の人から言われたのを聞いたりしたことがあるのかな? 今なら思わず「えっ?」って意味がわからずに聞き返してしまうかもしれませんね。

徒花、あられもない、行火など懐かしい日本語の意味と語源を学ぶ
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徒花(あだばな)

「スクリーンに咲いた徒花」「時代の徒花」というと、どんな女優を思い浮かべるだろうか

美しく印象的だったが高い評価を受けることなく消えていった人、その時代はもてはやされ好まれていたとしても時代とともに人の記憶から消え去った人、たとえばそんな存在を「徒花」という。

徒花とはもとは「咲いても実を結ばない花」、また「咲いてもすぐに散る花(桜)のこと。

古語では甲斐のないこと・はかないことを「あだなり」と形容しました。

そこはかとないせつなさ・悲しさを含んだ表現です。

意味▼見た目は華やかでも、実質を伴わないものごとのたとえ。

用法▼満を持して発売された新製品も、結局は時代の徒花に終わった。

あられもない

あられもない姿で外を歩き回るんじゃないよ…と父親から言われた娘さんもいるのではないでしょうか。

昔では考えられなかったことですが、今はミニスカートやショートパンツが普通で、人目に素肌をさらすことへの恥じらいは少なくなりました。

しかし、着物や浴衣が常用されていた時代には、肌はなるべく隠すべきものでした。

何かの拍子に前がはだけたり裾がひっかかったりして肌がこぼれると、「あられもない」姿をさらしてしまったことになります。

この「あられ」は、動詞「あり」に可能の助動詞「れる」がついて名詞化した語です。

「あられもない」の形で「あるはずがない」「そうあるべきでない」という意味。

意味▼(特に女性の振る舞いなどが)ふさわしくない。似つかわしくない。

行火(あんか)

「行火」を「あんか」と読める人は少ないかもしれません。

寒い夜、電気コードを引っ張って、布団に入れたり足を置いたりした、あの「あんか」です。湯たんぽとか、布団の中に入れるポータブルこたつのようなもの。

もともとは箱形の土器に炭火を入れたもので、置きごたつとして用いられることもありました。

「行」を「あん」と読むのは唐音(平安中期から江戸末期までに伝えられた漢字)で、携帯する意を表します。「行灯(あんどん)」もこのたぐいの語です。

意味▼布団に入れるなどして用いる、小型の暖房器具。

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