十五夜のお供えを盗むと子どもが授かる〜日本の迷信〜

十五夜のお供えを盗むと子どもが授かる
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十五夜とは?

ビルが立ち並ぶ都会ではなく、山里の集落にいくと晴天の夜ともなると月の光の明るさに驚くことがあります。
昔の人は、月の満ち欠けで季節の移ろいを知り、生活や仕事に利用していました。

特に旧暦の時代は、月の満ち欠けと暦が連動していたので、月は季節感を表わす格好の判断材料でした。
そのため、月は歌によく詠われたり行事などの目安にされたりしました。その中で日本には月にちなんだ迷信もたくさん生まれています。

十五夜とは旧暦の毎月15日の満月の夜のことです。通例は旧暦8月15日の夜をいいます。
この夜には、月見をしたり、綱引、相撲(すもう)などを行い、年占(としうら)的行事が多い。

そして、十五夜というと団子のお供えをすることで有名ですが、もともとはちょうどこの時期に収穫される里芋を供えるのが一般的であり、芋名月とも呼ばれました。

盗み食いは若妻のみに許された行為

十五夜に、団子や里芋を盗むと子どもを授かると言われるようになったのは、十五夜の満月が「妊娠して丸く大きくなった女性のお腹」を連想したからだろうと考えられます。

栄養の摂取状況もよくない時代、苦労して家計をやりくりしている若妻に、この日ばかりは盗み食いを許して、丈夫な子どもを産んでもらいたいという家族の事情が垣間見えます。
家族の繋がりが親密だった優しい時代の話です。

ただし、未婚の女性にみだりに性行為に興じてもらっては集落の風紀が乱れます。
そんなことから、未婚の女性がお供え物を盗み食いすると、色の黒い子どもが生まれてしまうという迷信も生まれました。

里芋の黒さから言われるようになったらしいが、奔放な性の営みを禁止しようという当時の道徳観念がうかがえる迷信です。

盗みは神様の代行行為

十五夜には、もう一つ変わった盗みの行事があります。
8月の十五夜に、団子や里芋を子どもたちが盗んで歩く行事があり、盗みは神への供物(くもつ)を神の代行として持ち去ることであるという意味の風習です。
神様が本来行う役割を子どもが担うというものです。

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