十五夜は旧暦の8月15日の月夜の行事のことです。
月の満ち欠けを基準にしていた旧暦と、太陽の動きを基準にしている現在の暦にはズレが生じるので、毎年9月中旬~10月上旬の間に旧暦の8月15日がやってきます。
旧暦の8月は1年の中で最も空が澄みわたり月が明るく美しいとされ、平安時代から観月の宴が開催されていました。
そして江戸時代には収穫祭として広く親しまれるようになりました。
十五夜に現れる怪盗「お月見どろうぼう」とは?
さて、最近USJでもハロウィンナイトが始まったり、都心を中心に日本でもハロウィンが定着してきました。
実はハロウィンはずっと昔から日本にあったんです。
そう十五夜には日本版ハロウィンとも言える「お月見どろぼう」という風習があります。
十五夜は、多くの地方で人の畑に植わっている芋や農作物を勝手に取って食ってもいいという風習がありました。
それがやがて、お供えものを子どもたちが盗み食いする風習が「お月見どろぼう」です。
あらかじめ各家々で、軒先や縁側に月見団子や里芋などをお供えし、子供たちが鈎をつけた竹竿などでそれを盗って回ります。
多く盗まれた方が縁起がよいとか、収穫があったと言われることもあり、収穫祭の性質を色濃く残している地方もあるようです。
今では団子のかわりに、子どもたちにお菓子を配るようにしている地方があるそうです。
「お月見どろぼう」にはルールがあります。
絶対にその家の人に気づかれないように持っていくこと。
だから、子どもたちは暗がりの中、どうしたら大人に見つからずお供そなえを持ってこられるかと、知恵ちえを絞しぼり、チャンスをうかがったそうです。
もちろん大人は知っていましたが、子どもは神様の化身であると考えられていたので、見て見ぬ振りをしていたそうです。
お月見というと風流さが注目されますけど、こんなに楽しい行事だったんですね。
現代ではご近所に住む大人と、子ども達の関係が昨今の社会背景もあり、希薄になってきていますが、こんな世の中だからこそ、復活して大切に継承していきたい風習だと思います。
地方の町や都会の下町など、こういう楽しい風習を通じて子どもを育み、みんなで一緒に見守っていけるようなまちづくりが最も大切なことのように思います。
なぜ十五夜にススキを供えるのか?
秋になるとフサフサした穂を垂れるススキたちを見ても、当たり前すぎて特に関心を持ちませんでしたが、ススキという植物は日本人にとってとても大切なものだったんだと知りました。
ススキは月の神様の依り代です。
本来は稲穂を依り代にしたいのですが、時期的に稲穂がなかったため、稲穂に似たススキを供えるようになったといわれています。
また、ススキの鋭い切り口が魔除けになるとされ、呪術力をもつとする見方があります。
お月見のあと軒先に吊るしておいたり、ススキの葉を輪状にして魔除けにする風習もあったり、沖縄等では「時間と空間を守る」ための魔除け と考えられているそうです。
十五夜にはススキを5本供えて、十三夜(十五夜のおよそ1ヶ月後)には3本のススキを供えます。
いずれもススキに秘められた霊力に対する信仰がその基盤に あるんですね。
ちなみに「ススキ」の名称は、「すくすくと立つ」から転訛したという説があります。