日本は言霊の国であり、言葉の持つ意味に対してとりわけ敏感なため、手紙のなかでも忌み言葉を避けてきました。
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手紙の禁忌言葉
日本は言霊の国であり、言葉の持つ意味に対してとりわけ敏感なため、手紙のなかでも忌み言葉を避けてきました。
◎結婚、出産、誕生日、新築など慶事の手紙
結婚に関する手紙には「別れる」「切れる」「去る」「離れる」などといった表現は使わないようにしますし、出産を祝う手紙では「流れる」などといった表現は避けるようにしました。
たとえ悪意がなくても、「月日の流れるのは早いもので……」などといった表現は避けてきたのです。
◎祝賀一般の手紙
「朽ちる」「古い」「乱れる」などと書いたり、新築や開店に関する手紙に「火」「散る」「燃える」「倒れる」などと書くのもタブーです。
◎弔事の際の手紙
例えば、不幸が重なるという意味で「くれぐれも」「重ね重ね」などの繰り返し言葉や、「また」や「再び」「続いて」などの不幸の再来を連想させる言葉などは、注意して書かないようにします。
また、これは忌み言葉ではありませんが、手紙の文中で、人の名前や地名など、単語が二行にまたがるのは避けるべきです。
言葉が割れて、縁起が悪いと考えられたためです。
昔から伝わる手紙のことわざ
●弘法にも筆の誤り
弘法大師(空海) のような書の名人でも、ときには書き間違えることもあるので、どんな優秀な人でも、失敗はあるということ。
●書、筆を選ばず
書家といわれるほどの人は、どんな筆や紙を使っても見事な字を書くということで、「弘法、筆を選ばず」ともいう。
●文をもって友と会す
遠方の友人とも、手紙のやりとりによって会っているのと同じように、友情を温めることができる、という心境を述べたもの。