狐憑き

日本の怪談の中で、最も知られているのは狐や狸にまつわる怪談です。
狐狸という妖怪は、日本固有のものでなく大陸から輸入されたもの。
それも1000年以上前から伝わった物とされています。

一般的によく語られるのは「狐憑き」のお話。それだけでもたくさんの物語があります。
四国では狐がいないことから、狐が狸に置き換わります。
佐渡では、狐がむじなになり、隠岐では猫に置き換えられて物語が伝わっています。

狐憑き
目次

狐の妖怪の種類

狐の妖怪には、いくつか種類があります。
白狐、オサキ、管狐(くだぎつね)というものは、狐の中でも最も神変不思議なことを起こすと信じられています。

管狐の由来は、人間が竹筒を持ちながら、呪文を唱えると、狐がたちまちその管の中に入り、人間の問いに応じて答えてくれるということからその名がつきました。

その狐の尾がさけているのが特長で、別名オサキとも呼ばれています。

「白狐」とは群馬県、埼玉県、栃木県地方に最も多く、長野県、静岡県等にも一般に信じられています。

他にも出雲地方の「人狐(にんこ)、四国地方の犬神」という狐がいます。

管狐・オサキの特長

この狐の妖怪は、いたって小さく、二十日鼠くらいです。
この狐を信じる人は、京都の伏見稲荷よりやってきた狐を、追い出すことはなく、家に住まわせています。。
狐を養い、住む環境を整えることで、その家に住む人の将来を予言したりします。
そかもその予言は外れることが無いという。

しかし、狐は常に巧みにその体を隠すので、家の主にも誰も見ることができません。

出雲の人狐(にんこ)の特長

人弧

人弧の大きさは、鼬(いたち)に似て鼬より小さく、その尾は鼠より短くて毛あります。毛の色は鼠色。

出雲地方にて、精神病に似た病人が出たときは、誰もが人狐の所為であると信じているという。

また、人狐の住む家は子々孫々相伝わるとされ、一般にその家と結婚することを嫌う風習があります。

この風習は四国の犬神と似ています。
犬神は人狐と同じく、代々相伝わり、血統をつぐものとして、社交上、人に避け嫌われます。

その家の者が、誰かを憎いと思えば、犬神たちがすぐにその人を悩まし、病にしてしまうという。

また、その家の者が、他人の食生活を羨ましいと嫉めば、犬神がすぐにその人に取りつき、あるいはその食物の腐敗させてしまう。

実は犬神の由来は、昔一匹の犬を柱につなぎ、その縄をすこしゆるめて器に食物をもり、その犬の口さきにまさにとどかんとする所に置き、うえ殺しにして、その霊を祭る奇妙な風習から来ています。

昔から不幸や嫌なことがあれば、狐の仕業にする?

多くの人が日常生活で、少し奇怪に感じることがあった際に、狐か狸の妖怪の仕業と考えました。
そうすることで、偶然の出来事がでも理由付けができて納得し、狐狸の怪談として伝承されることで、狐狸にまつわる多くの伝承が生まれました。

これも人の生きる知恵かもしれません。
人々は昔から、大なり小なり嫌なことがあると、つい考え込んでしまい、夜も眠れなかったりすることがあります。
自分の行動や言動、人間関係や、自分の置かれている状況など、ふと嫌な思いが頭をよぎるって事は、日常の中で何度でもあることです。

そんな嫌なことに悩まされるぐらいなら、「これは狐のせいだ」と思えばすぐに気持ちの切り替えができます。
先人たちは、ネガティブな感情を、妖怪のせいにすることで、ポジティブに変換していたのかもしれません。

そういえば晴れた日に、突然雨が降ってくると「狐の嫁入り」といいますが、それもその一つかもしれません。

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