スマートフォンで気軽に写真が撮れる現代でも、3人で写真を撮ると真ん中の人に不幸が起きるという迷信は生きています。
なぜそんな迷信が生まれたのでしょうか?
日本人は自分が中心なることや目立つことを嫌がります。だから真ん中にたつとどうも居心地が悪いものです。
そんな日本人の控えめな性格から、こんなことを言われだしたのでしょうか?
カメラは魂を盗む機械
江戸時代の末期までは、日本にはカメラ自体が存在していません。
だから、この迷信は西洋文明が急に入ってきて、時代の変化の中で生まれました。
外国貿易も本格的になり、珍しい器械もたくさん入ってきたと思います。
カメラ自体も初めて接して、紙に写し取られる自分の姿を見てなんと感じたでしょうか?
八百万の神々や霊的な感性が豊かな民族ですから、突拍子もない印象を持つのも無理はありません。
さて、「三人で写真を撮ると真ん中の人が死ぬ」という迷信の意味は、三人一組で並んで写真を撮影すると、二人にはさまれるようにして中央に立っていた人が、なぜか早死にするというものです。
この迷信が誕生した理由についてはいくつかの説があります。
●ピンポケの影響によるという説
カメラが日本に入り始めたころ、日本の人々は度肝を抜かれてしまった。「カメラに撮影されると、その人間の魂までもが体内から盗まれてしまう」と本気で信じたほどです。
自分の容姿が一瞬にして正確に写し出される機械をはじめて目の当たりにしたのだから当然のことです。
それまでは絵師に時間をかけて、ディフォルメされた似顔絵を描いてもらうことしか知らなかったのですから。
数秒で絵が完成してしまう。それも自分そのものが紙に描かれている…そりゃ驚くでしょう。
しかし、日本に輸入され始めた頃のカメラは、当然のことながら、今よりも性能は遥かに劣っていました。
そのため、三人が並んで写真を撮ると、どうしてもピントは真ん中の人にあたり、両脇の二人は甘くなってややピンポケになります。
iPhoneでも画面端に写る人は広角レンズの影響で、ゆがんでしまうことがありますが、そんな感じだと思ってください。
そのため、真ん中の人は魂の盗られる度合いがより強く、早死にすると、まことしやかにささやかれるようになったというのです。
SNSが無かった時代ですが、現代よりリアルなコミュニケーションが密だったので噂が広まるのはとても早く、しかも口伝えだから噂に枝葉がたくさんついてとんでもなく飛躍してしまったのでしょう。
●真ん中年長説
三人並んで写真を撮ろうとすると、多くの場合は年長者を真ん中にします。
昔の日本人は、年長者を特に敬っていましたから当然です。
そのため自然に、写真中央の人は死ぬ時期が一番早くなります。
●三人で写真を撮るのはタブー
もともと、日本では「三」という数字を忌み数(いみかず)といって嫌う習慣がありました。「三」も悲惨の「惨」に通じることから忌避されると考えたのです。
だから嫌な人数となる三人で撮影するのを避けさせるため、この迷信が生まれたという説です。