日本の観音様の由来とは?

どこの寺院でも観音像を祀ります。他の仏は人の煩悩を諭すような厳しさが宿りますが、観音様はどこか女性的な優しさが宿っているようで、人々はそこに癒やしや救いを求めるのかもしれません。

特に西日本には「西国三十三所観音霊場巡礼」というものがあり、観音信仰が昔から盛んです。

また宗派の枠を超えて唱えられる「般若心経」の主人公は観音様です。

日本人に親しまれている観音様、その由来をご存知でしょうか?

目次

簡単に分類できない観音様の世界

日本には子安観音、慈母観音、救世観音など、観音様の信仰が多くあり、観音像をよく目にします。だから観音様とは何か?と聞かれると、答えるのが難しい。

観音様は、観音経などのお経に出てくる菩薩であり、仏に次ぐ崇拝の対象です。

正しくは観世音菩薩という。

「観世音」とは、観察することの自在な者を意味するサンスクリット語の「アバローキテーシュヴァラ」を意訳したものです。

すべてを観察し、大きな慈悲をもって自在に生きとし生けるものを救済する書薩という意味で観自在、観世自在とも訳されたという。

観音信仰は北西インドで成立し、日本へ伝わったのは六世紀末から、七世紀初め頃で、かなり古くからあったことがわかっています。

仏教を日本に広めた聖徳太子は、法隆寺夢殿と、四天王寺金堂に救世観音を安置しました。

また、京都の清水寺は、「観音の慈悲は広大無辺であり、あらゆる人間の苦悩を救う。」この現世利益の観音信仰が、平安中期から高まり、観音信仰で栄える寺となり、日本無双の観音霊場となりました。

平安時代以来,種々の〈清水寺縁起〉がつくられ、霊験譚が世に喧伝され、貴賤の参詣者や参籠者が境内にあふれ、〈清水詣(もうで)〉なる言葉も生まれました。

変幻自在の観音様

観音様は救いを求める人々に合わせて姿を変えます。

その数は、なんと三十三身もあります。

大別すると三つの系統のいずれかに属します。阿弥陀仏の脇侍としての観音、現世利益の本尊としての観音、そして密教の観音です。

その観音様の住まいは、中国では漸江省にある普陀山、日本では那智山と伝えられています。

◎六観音

真言系では聖観音、十一面観音、千手観音、馬頭観音、如意輪観音、准胝観音を六観音と称し、天台系では准胝観音の代わりに不空羂索観音を加えて六観音となります。

◎七観音

観音が衆生教化のために変じ給える七身。真言系の六観音に天台系の不空羂索観音を加えたもの。

◎十五尊観音

三十三観音のうち、白衣、葉衣、水月、楊柳、阿摩提、多羅、青頸、琉璃、龍頭、持経、円光、遊戯、蓮臥、瀧見、施薬の15の変化身をいう。

◎三十三観音

(1) 楊柳(ようりゅう)、(2) 龍頭(りゅうず)、(3) 持経(じきょう)、(4) 円光(えんこう)、(5) 遊戯(ゆげ)、(6) 白衣(びゃくえ)、(7) 蓮臥(れんが)、(8) 滝見(たきみ)、(9) 施薬(せやく)、(10) 魚籃(ぎょらん)、(11) 徳王(とくおう)、(12) 水月(すいげつ)(13) 一葉(いちよう)、 (14) 青頚(しょうけい)、(15) 威徳(いとく)、(16) 延命(えんめい)、 (17) 衆宝(しゅうほう)、(18) 岩戸(いわと)、 (19) 能静(のうじょう)、(20) 阿耨(あのく)、(21) 阿摩提(あまだい)、(22) 葉衣(ようえ)、(23) 瑠璃(るり)、(24) 多羅尊(たらそん)、(25) 蛤蜊(こうり、はまぐり)、(26) 六時(ろくじ)、(27) 普悲(ふひ)、(28) 馬郎婦(めろうふ)、(29) 合掌(がっしょう)、(30) 一如(いちにょ)、(31) 不二(ふに)、(32) 持蓮(じれん)、 (33) 灑水(しゃすい)

観音様の御真言

<聖観音>

オン・アロリキャ・ソワカ

<十一面観音>

オン・ロケイ・ジンバ・ラ・キリク・ソワカ / オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ

<千手観音>

オン・バザラ・タラマ・キリク

<如意輪観音>

オン・ハンドメイ・シンダ・マニ・ジンバ・ラ・ウン

<准胝観音>

オン・シャレイ・ソレイ・ソンデイ・ソワカ

<不空羂索観音>

オン・アボキャ・ビジャシャ・ウン・ハッタ / オン・ハンドマダラ・アボキャ・ジャヤデイ・ソロソロ・ソワカ / オン・アモキャ・ハラチカタ・ウンウン・ハッタ・ソワカ

<馬頭観音>

オン・アミリト・ドハンバ・ウン・ハッタ

<白衣観音>

オン・シベイテイ・シベイテイ・ハンダラ・バシニ・ソワカ

<楊柳観音>

オン・バザラダラマ・ベイサジャ・ラジャヤ・ソワカ

<六字大明呪>

オム・マ・ニ・ペ・メ・フム / オーム・マニ・ペーメエ・フーム

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