現代人のためのお中元とお歳暮の常識

お中元、お歳暮は両親、親戚、仲人、恩師、習い事の先生など、日頃、お世話になっている人に感謝の気持ちから贈る季節の挨拶です。

でも現代の常識では、病院の医師や学校の先生、得意先企業などの個人宛は受け取りを禁止もしくは遠慮するのがあたりまえと考えるようです。

だから特別にお世話になったとき以外は、贈る必要はないと考えるのが普通になっています。

人と人のリアルなコミュニケーションがやりづらくなってきた現代において、日本人の大切にしてきたこの風習を知らない親世代も増えています。

せっかく親世代が脈々と伝承してきた良き風習を廃れさせないために、これからお中元やお歳暮の常識を次世代に伝えていくためにも知っておくことがいいでしょう。

お中元、お歳暮
目次

お中元やお歳暮はいつ頃までに贈るといいのでしょうか?

贈る時期は、お中元は7月初め〜15日ごろまで(関西は8月15日ごろまで)、お歳暮は12月初め〜中旬ごろまでが基本です。

この期間より遅れてしまったら、「暑中お見舞い」(目上の人に対しては「暑中お伺い」)、立秋過ぎは「残暑お見舞い」(同じく「残暑お伺い」)とのしなどに書きます。

暮れのご挨拶の場合は、年内いっぱいは「お歳暮」で良く、年が明けたら「お年賀」とします。

デパートからお中元やお歳暮を発送するときは、手紙を別送するとより気持ちが伝わる贈り物になる

昭和の頃ぐらいは訪問したうえでご挨拶をして、感謝の気持ちを言葉で伝えて手渡すのが丁寧とされて、そうするのがあたりまえでした。

できれば今でもそれぐらいの丁寧さ、積極性が欲しいところですが、忙しい現代の生活では、デパートなどから発送するほうが一般的です。贈られる方も自宅まで訪問されると迷惑に感じる人もおられます。

でも、ただ単にデパート任せにして発送するだけではなく、品物が届く前に手紙を別送しましょう。

お稽古ごとの先生など、伺う機会があるなら持参しますが、他の生徒や弟子の目を意識し、別送するほうがいいケースもあります。それぞれの贈る方の状況を見て、判断しましょう。

毎年、同じものを贈っても良い

お中元やお歳暮の時期になると、毎回、何を贈ろうかと、迷う人もいるでしょう。それが面倒で商品券にしたり、ありきたりな定番商品で済ませてしまう人も多いと思います。

それなら毎年、決まったものを贈るようにすると、自分も気楽に考えられるし、相手もそれを楽しみにしてくれるようになり、かえって印象に残りやすいものとなります。

この人の贈り物は毎年楽しみに待っているといわれるような、自分にとっての定番の品物を考えてみてはいかがでしょうか。

「どちらかだけ」のときはお歳暮を

お中元、お歳暮は原則として両方贈ります。お中元だけ贈って、お歳暮は贈らないというのは失礼です。

ただし贈り物は、同じ程度の金額にするか、お歳暮のほうをやや高めの金額のものにするのが一般的です。もし、どちらかですませたいというときは、お歳暮だけにします。

また、お中元、お歳暮は日頃お世話になっていることに対する感謝なので、1年きりでやめるのは控えましょう。

先方が喪中のときはどうする?

相手が喪中であっても、感謝を示すことには変わりはないので、ふだん通りに贈ります。

目上の方には商品券よりきちんと自分で選んだ品物を贈ること

お中元、お歳暮とも希望の品のトップは商品券やギフト券ですが、目上の人や年長者には、品物を贈るほうが丁寧で喜ばれることが多いものです。

商品券やギフト券のほうが良いと考えるのは、相手に依存しているように映り、気持ちが全く伝わりません。やっぱりきちんと相手のことを考えて選び抜いた贈り物であることが大切ではないでしょうか。

だから贈る品物は、相手の家族構成やライフスタイルなどを考え合わせて、気持ちを込めて選ぶようにします。

お返しよりお礼状

お中元、お歳暮をいただいた場合、基本的にはお返しは必要ありません。日本人にはお返しの風習がありますが、贈り物の場合はかえって相手に気を使わせてしまうので、お返しはしません。

ただし、すぐに感謝の気持ちを伝えるお礼状を出すようにします。

贈るのをやめる場合、相手に断る必要はない

お世話になったとはいえ、その後、しだいにおつき合いが疎遠になってきた場合は、いつまでもお中元、お歳暮を贈る必要はありません。相手にとっても、かえって気持ちの負担になるだけでしょう。お中元やお歳暮を贈るのをやめる場合、とくにお断りする必要はありません。

儀礼的にやりとりしている場合は、話し合いができる間柄なら、ざっくばらんに話し合い、やめてもいいでしょう。

また、仲人は、挙式当日だけの形式的な仲人なら3年程度、2人を引き合わせてくれた仲人ならもう少し長く、5年か7年ぐらい贈ればいいとされています。

もちろん、2人の気持ちで、さらに長く続ける場合もあるでしょう。あくまでも、贈る側の気持ちが大切で、特別な決まりはありません。

受け取る理由のない贈り物が届いたら

日頃、おつき合いがほとんどない人から、立場からいっても受け取る理由のない贈答品が届くことがあります。そんなときは、次のように対応します.

<やんわり、お断りしたいとき>

いただいたものと同等の金額のものをすぐに送り返し、「お心づかい、恐縮しております。どうぞ、以後はこのようなご配慮はご無用に」などという手紙を同封するか、別送します。

<断固として拒絶したいとき>

なにか贈り主の下心が感じられるような場合は、品物を開封せずに、そのまま送り返し、「せっかくのお心づかいですが、ご辞退させていただきます」という意味の手紙を添えます。

開封してしまった場合は、同程度のものを送り返し、やはり手紙を添えて、きっぱり拒絶の意思を伝えるようにしましょう。

しかし、それが見知らぬ相手から贈られた場合は、詐欺や犯罪に関わることもあるので、無視するのが良かったり、警察に届けたほうが良い場合もあります。その場合は慎重に判断して身の回りの人に相談するなどしてみましょう。

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