日本の縁担ぎの風習の由来

縁担ぎ

結婚や就職など何か人生の転機となる日は、できるだけ良い日を選ぼうとするのはいつの時代でも同じです。
例えば大安を選んだり、仏滅を避けたりなどです。
それらは化学的な根拠のないものですが、昔から日本人はこの縁担ぎの風習を大切に受け継いできました。
そこに本来、どんな意味があったのか?

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大安・仏滅の本来の意味は戦場にあった

冠婚葬祭などの日取りを決めるときに、「大安なので、この日に結婚式を挙げよう」とか、葬儀の日を決めるのに「友引なので、葬式を繰りあげよう」などという話をよく聞きます。

ここで使われている「大安」「友引」などは、古代中国の「六曜(ろくよう)」という暦の考え方にもとづいており、三国志で有名な諸葛孔明(しょかつこうめい)が、戦いの際、吉凶の日を知るのに利用したことに端を発しているといわれます。
今の日本では暮らしの中の吉凶を知るために用いられているので、これらが戦いの現場に由来するとはとても意外な気持ちがします。

中国からこの六曜が日本に伝わり、江戸時代の半ばから庶民の生活の中に急速に広まっていきました。
日本人の占い好きは、今も昔も変わらないようです。
そして現在使われている六曜のそれぞれの日には、次のような意味があります。

◎先勝/午前が良く、午後は悪い。
◎友引/正午のみが凶。
◎先負/午前が悪くて、午後が良い。
◎仏滅/1日じゅう最凶の日。
◎大安/1日じゅう良い日。大安吉日。
◎赤口/昼だけが吉。朝・夕は凶で、災いに出会いやすい。

本来は中国で、戦いや争いごとの吉凶の日を占うものでしたが、しだいに日本では日常生活全般に用いられるようになっていきました。
なかでも「友引」は、もともと「争いごとで、ともに引き分けて勝負なし」の意味ですが、その文字の連想から「友を引く」との意味に取られるようになり、葬儀などの弔事が避けられるようになりました。

明治時代になって新暦が採用されると、六曜による吉凶の載った暦注(暦に注記したもの)は禁止されました。しかし、長い習慣として六曜が日本人の生活に影響を与えていたため、いまでもカレンダーなどにはこの暦注が使われていたりします。

おみくじの由来。それは農作業の風習からはじまったこと

たいていの神社には、おみくじがあります。
年始には多くの人々が、これからの1年の吉凶を占うために、おみくじを引いては、そこに書かれた神様からの言葉に一喜一憂する場面がよく見られます。
このように神社にお参りをしたあと、おみくじを引いて吉か凶かを占うようになったのは、江戸時代ごろだといいます。
しかし、くじによって神意をうかがうということは、古くから行われいた風習なのです。

おみくじは「御鍍」または「御神鏡」と書き、神意をはかるために使われていました。

鎌倉時代には、農村で用水を田んぼに引く順番を決めるときや、一部の地域で「切り替え畑」と呼ばれる畑の割り当てを決めるときなど、また漁村で漁場の割り当てを決めるときなどに、話し合いがつかない際に、村人たちがそれぞれ名前を紙片に書き、神主がお祓いをしてから紙片を引いて決めたということです。

昔から「神仏の配慮は公平」と信じられ、また「偶然は公平」という考えもあって、おみくじを利用するのは、地域共同体を円滑にまとめる手段でもあったのです。

室町時代には、足利幕府六代の将軍を決めるときに、守護大名たちの意見が割れて一致しなかったため、石清水八幡宮の神前でおみくじによって決めたという記録が残っています。

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ちなみに、物事を決する際に、おみくじのほかに「あみだくじ」が使われることもあります。
この「あみだくじ」は、もともとは紙の上に阿弥陀仏の光背のように、放射線を描いてくじとして引いたことから、「あみだくじ」と呼ぶようになったとのことです。今のように上から下に描くだけではないので、面白いです。

そして、おみくじは1回のみではなく、何度引いても良いと言われています。
それは先に記したように、本来の意味は「神様からの言葉」を伝えるためのものなので、いろいろな神様からの言葉を受け取って自分の暮らしに活かすのは良いことだからです。日本には八百万の神様がおられるので、それぞれの神様からの声をいただくのは悪いことではありません。吉とか凶の文字はあまり意味がありません。

一般的に引いたおみくじは神社の境内にある木の枝に結びつけるというのが慣例化していますが、それは受け取った神様からのメッセージを放棄する行為に近いものがあります。
書かれている内容がどうしても納得がいかない、受け取りたくないと思うのならそうしてもいいでしょうが、普通は折々に書かれていることを読んで、日々の暮らしの戒めとして活用するほうが、神様は喜んでくれるのではないでしょうか。

家に持ち帰ったおみくじは、一年後に神社でお焚き上げに出すか、袋に塩とおみくじを入れて感謝の言葉を伝えてからゴミに出せば良いと言われています。

年中行事のことわざ

●年取り豆を年の数だけ食べると病気にならない
節分にまく豆を年取り豆といい、煎った豆は、病気を打ち負かす力があると考えられていた。そのため、まいたあと、その豆を自分の年の数だけ食べると、病気にならないといわれた。

●八十八夜の別れ霜
立春から数えて八十八夜目(現在の五月二田ごろ)になると、そろそろ霜の下りる心配もなくなる。つまりは安心して農作業に入れるということ。

●盆に殺生をしてはいけない
お盆は氏神を祀り、祖先を供養するときなので、魚を殺したりしてはいけないということ。お盆の期間中は、出漁しないという風習の地域もある。

●棚からぼた餅
偶然、棚からぼた餅が落ちてくるような、ラッキーなことに出会うことで、昔、ぼた餅は、お盆などでなければ食べられないほどのご馳走だった。

●冬至に南瓜を食べると、中風にならない
中風とは、脳卒中などによる手足のマヒのこと。もともとは中国から伝わった行事で、寒さ本番を前に、冬に不足しがちな栄養をとるための生活の知恵といえる。この日に「ゆず湯に入ると、風邪を引かない」ともいう。

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