「きちょうめん」は几帳の柱の角からきた言葉

私はどちらかというと「几帳面」とは言い難い性格です。心配症で何事にもメモをしたり準備したり、もちろん確認も怠りなくやっているつもりですが、いつも何か忘れてしまいます。人からは「少し抜けてるね〜」などと言われてしまうこともよくあります。

そういえば「几帳面」と漢字で書いたときに、よく見ると意味がよくわからない文字がならんでるなぁと思いました。「几」という文字もあらためて見ると不思議な字面です。

几帳面の意味
目次

几帳面とは?

「几帳面」という言葉は、細かいところまでしっかりと整理整頓して、物事を正確に管理することを指します。
また、約束事やルールを厳格に守ることも含まれます。

几帳面な人は、時間管理が得意で、仕事や学業でも優秀な成績を収めることが多い傾向があります。

「几帳面」の語源について

諸説ありますが、一般的には以下のような説があります。

まず、「几帳」というのは、中国で使われていた書物を収めるための箱のことで、そこに収められた書物は整然と整列されていました。このように整理整頓された様子から、「几帳面」の言葉が生まれたとされています。

また、別の説として、日本の江戸時代には、薬剤師などが処方箋を書くための「几帳」という帳簿を使用していました。処方箋は、正確に薬を調合するために非常に細かい部分まで書かれており、几帳には縦横に線が引かれ、整然と書き込まれていました。このように、細かいところまで正確に書き込むことから、「几帳面」の言葉が生まれたという説もあります。

古典的な観点では、よく時代劇などで貴族や皇族と対面する場面で、高貴な方の姿を隠す意味で部屋に間仕切りをするのに使う「几帳(きちょう)」が言葉に由来しているという説。

『源氏物語』の光源氏と姫君が対面するときなど、多くこの「几帳」を間に置いている様子が絵巻物によく描かれています。
平安時代の「几帳」は、貴族社会の美意識が育んだ、たいへん繊細・優美で、技巧的な家具でした。
「几帳」は、扉風のように室内に立てて隔てとしたり、座側に立てて遮るのに使われました。
台の上に二本の柱を立てて、それに横木をわたしてその上にとばりをかけます。とばりの布は、冬は練絹に朽木形、夏は生絹に花烏などで色彩も豊か。そうした几帳の厳しく飾った作りから人々は、型にはまった規則正しい行いや厳格で折り目正しい態度を「きちょう」というようになりました。

「几帳面」の「面」は几帳の柱の角のことをいいます。
今も残っている調理用語に「面とり」といって、にんじんや芋の角の形を整えることをいいますが、几帳の面も同じように几帳の柱の角を削って丸くし装飾をほどこされています。
そこから、隅々にまで細かくきちんとすることを「きちょうめん」というようになったといいます。

いずれにしても、「几帳面」という言葉は、整理整頓された姿勢やきめ細かく行き届いた行為や性格を表す言葉として、長い歴史の中で定着してきました。

「几帳面」という言葉が使われる場面とは?

物事を正確に管理する人や、約束事やルールを厳格に守る人に対して、「几帳面な人」と表現されます。
例:彼女は几帳面な性格で、いつも細かいところまできちんと準備をしている。

自分自身が整理整頓された生活を送り、時間管理に優れていることを表現するときに、「私は几帳面な性格です」と言われることがあります。
例:私は几帳面な性格なので、仕事や勉強のスケジュールを細かく決めています。

悪い意味で、細かいところにこだわりすぎて、周りの人に迷惑をかけるような人を指して、「几帳面すぎる」と表現されることもあります。
例:彼は几帳面すぎて、他の人のペースを乱してしまうことがある。

以上のように、「几帳面」という言葉は、正確さや整理整頓、時間管理のようなポジティブな意味合いだけでなく、度を越えてこだわることで周りに迷惑をかけるようなネガティブな意味合いも持っています。

摩訶不思議な「几」という文字形の意味は?

「几」という漢字は、机の上に敷いて書物や文房具を置くための小型の机(箕)を意味する字で、また、正確・細かいことを扱う際に用いる助詞の字でもあります。

「几」という字は、「凵」(かん)と「木」の部首で構成されており、左側の「凵」は、箕(み)の形をしています。

この箕は、書物を入れて整理する道具であったため、几帳面な性格の人が、書物を正確に管理することと結びついて「几帳面」という言葉が生まれたと考えられています。

また、「几」の字が助詞として用いられる場合は、正確に意味を表現するための細かい調整を行う意味合いがあります。

「几」の字自体は、日常生活であまり一般的に使われることはありませんが、「几帳面」という言葉の一部として広く使われています。

几帳面な著名人といえば誰?

几帳面な著名人は多数いますが、その中でも代表的な人物をいくつか挙げてみます。

ルイス・キャロル:「不思議の国のアリス」などの童話作品で知られるイギリスの作家。数学者としても知られ、正確な計算や推論を好んで行ったことで知られています。

アルバート・アインシュタイン:ドイツの物理学者。特殊相対性理論や一般相対性理論の発見で知られ、計算や実験に対して常に正確な姿勢を持っていたことが伝えられています。

スティーブ・ジョブズ:アップル社の創業者で、イノベーションやデザインに優れたビジネスマンとして知られています。しかし、仕事に対する徹底的なこだわりや細かい部分にもこだわる姿勢が、几帳面な人物としての一面を見せています。

渡辺謙:俳優で、国際的にも活躍しています。インタビューなどで自らが几帳面な性格であることを公言しており、スケジュールや役の準備に対して細かい部分までこだわることが知られています。

以上のように、几帳面な著名人は多岐に渡りますが、彼らの精密で正確な仕事ぶりが、彼らが成功を収める上で重要な要素の一つであることは間違いありません。

几帳面な性格になる方法

几帳面な性格になるためには、以下のような方法があります。

スケジュールを立てる
スケジュールを立てることで、自分が何をいつまでにやらなければならないかを明確にすることができます。また、スケジュールに余裕を持たせることで、予期せぬトラブルが起こっても対処する余裕が生まれます。

細かい部分に気を配る
几帳面な人は、細かい部分にも気を配ります。例えば、書類の整理やメールの返信など、些細なことでもきちんとやることが大切です。

ルーティンを作る
几帳面な人は、ルーティンを作って生活を整えることが多いです。例えば、毎朝同じ時間に起きて、同じ時間に朝食を食べるなど、自分にとって最適な生活パターンを見つけて継続することが大切です。

メモを取る
頭の中に入れておくのが難しいことは、メモを取ることで解決することができます。几帳面な人は、何か思いついたことややるべきことをメモに書き込むことが多いです。

整理整頓する
几帳面な人は、物の整理整頓にも力を入れます。例えば、机の上を常に整理しておくことで、仕事の効率が上がります。

以上のような方法を実践することで、徐々に几帳面な性格になることができます。ただし、自分に合った方法を見つけることが大切であり、無理なことをしすぎてストレスを抱えることがないように注意しましょう。

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