神社や寺院の引越と分霊の儀式

分霊の儀式

神仏は人間のように簡単に引っ越しはできません。その土地の山や海や巨樹や岩を御神体とし、その土地に根ざして土地を守り繁栄させるという役割があるからです。
人間の場合は、北海道から沖縄、海外でもいつでも自由に住処を変えることができます。
ただ神様の場合は、古代から自然をご神体と信仰していたので、そもそもご神体を移動するという考えは無かった。

でも土地を開墾したり、新天地で新生活をおくりたい、やむを得ない事情で引っ越しが必要になるなど、人間の生活には移動がつきもの。
そこで「神様も一緒に来てください」とお伺いを立てる風習が生まれました。

人間の勝手な要望かもしれませんが、霊山の麓に住んでその姿を朝に夕に拝んでいた人々や、神聖な森や樹木の下で毎年感謝と祈願の祭りをくり返してきた人々が、他の土地に移住して、霊山や森の姿を恋しく思い、新しい土地でもお祀りしたいと思うのは、自然な感情かもしれません。

目次

御神体の引越とは

御神体の引越しとは、神社や寺院などにおいて、神や仏を祭るための神像や仏像などの宗教的な対象物を、別の場所に移動することを指します。御神体は、神様や仏様の霊を宿すとされ、その場所に神や仏の神格が宿ると考えられています。御神体を引越すことは、その神や仏の神格が新しい場所に宿ることを意味するため、非常に重要な儀式となります。また、御神体を新しい場所に安置する際には、神職や僧侶などが厳粛な儀式を行い、神仏からの恩恵を受けることを祈願します。

御神体の分霊とは

御神体の分霊とは、神社や寺院などにおいて、神や仏を祭るための神像や仏像などの宗教的な対象物を、別の場所に分け与えることを指します。
御神体は神仏の霊が宿るとされ、その神仏の神格が宿るために大切なものです。
御神体の分霊は、神仏の力を広げ、地域社会や信仰者にも広く神仏の恩恵を与えることができるとされています。分霊された神仏の像は、それぞれ独立した神社や寺院に安置され、その地域の信仰の中心となることがあります。分霊は、神社や寺院の歴史的なつながりや交流を示す重要な儀式でもあります。

分霊の方法とは

分霊の方法には、いくつかの方法があります。

御霊分け

1つ目の方法は、本殿や仏殿の前に移動可能な神像や仏像を設置し、その神像や仏像に霊験が宿るように祈願する方法です。そして、その神像や仏像を、分霊のための場所に持ち込んで分霊を行います。この場合、分霊する神仏の力が神像や仏像に宿ることで、その地域の信仰の中心となることがあります。

御神体の移動

2つ目の方法は、既に分霊された神像や仏像を、新たな場所に移動させる方法です。この場合、神仏の力がその神像や仏像に宿っているため、新たな場所に持ち込むことで、神仏の力をその地域に広めることができます。

社殿の増築

3つ目の方法は、神社や寺院において、神仏を祭るための特定の場所に分霊殿を設置し、その場所に神仏を分霊する方法です。この場合、分霊された神仏は、分霊殿に安置され、信仰者が参拝することができるようになります。

いずれの方法でも、神仏からの恩恵を受けるためには、神職や僧侶などが厳粛な儀式を行い、神仏の力を引き出すことが重要です。

神社を他の土地に移動させるときの作法や儀式は?

1.託宣(たくせん)の取得

神社を移転する前に、神社の御神霊(ごしんれい)が移転に同意するための託宣を取得する必要があります。託宣とは、神社において、神霊が意思を伝えるために用いるとされる符牒(ふとう)のことで、移転の際には、移転先の神社に対して託宣を取得することが必要です。

2.護符の作成

神社を移転する際には、神社の護符を作成することがあります。護符には、神霊を宿すための力が宿るとされ、移転によって神霊が傷つかないようにするために用いられます。

3.御霊入れ

神社を移転する前に、神社の御霊を移転先の神社に入れることがあります。御霊入れとは、御神体(ごしんたい)を神社の中に入れる儀式のことで、御神体を新しい神殿に入れることで、神社を新しい場所に移転することができます。

4.神事の執行

移転後には、神社の中で神事を執行することがあります。神事とは、神仏を祀るための儀式のことで、新しい神殿に御神体を安置し、新しい神社として再建することが行われます。

以上のように、神社を移転する場合には、神職や信仰者によって慎重に儀式が行われ、神霊を傷つけずに新しい場所に移転するための準備が行われます。

寺院を他の土地に移動させるときの作法や儀式は?

寺院を他の土地に移動させる際には、以下のような作法や儀式が行われることがあります。

1.御仏足(ごぶっそく)の移動

寺院を移転する場合、まず仏像の御仏足を新しい寺院に移動します。御仏足とは、仏像の足の部分を指し、仏像の持つ力が宿っているとされています。

2.経蔵の移動

寺院には、経典や仏具が保管されている経蔵があります。経蔵も移転先に移動させるための儀式が行われます。

3.祈祷や法要の執行

移転後には、新しい寺院で祈祷や法要が執行されます。これは、新しい場所での宗教活動を始めるための儀式であり、神職や信徒たちによって行われます。

4.神社との関係の確認

寺院が神社と密接に関係している場合、移転後には新しい神社との関係を確認することがあります。この儀式には、神社の神職や寺院の僧侶が参加することがあります。

以上のように、寺院を移転する場合には、寺院内の仏像や仏具を慎重に扱い、新しい場所に移動させるための準備が行われます。また、移転後には、新しい場所での宗教活動を始めるための儀式が行われます。

御幣とは?

「御幣(ごへい、おんべい、おんべ)」は、神社や寺院などで使用される装飾品の一つで、幣帛(へいはく)とも呼ばれます。御幣は、神々や仏様をお迎えする際に、その神聖な力を納めるために用いられます。

御幣は、麻や絹などの布で作られ、神々や仏様を象徴する模様や文字が刺繍されたものが一般的です。また、御幣には、神聖な力を宿すための儀式や祈祷が行われることもあります。

御幣には、以下のような種類があります。

麻の御幣
一般的な御幣で、麻布を用いたものです。

絹の御幣
麻の御幣よりも高級な、絹布を用いたものです。

五色幣
五色の絹布を縫い合わせたもので、神聖な力をより強く宿すことができるとされます。

瑠璃幣
瑠璃色の絹布を用いたもので、聖なる宝石のように輝きます。

御幣は、神社や寺院などで、神々や仏様をお迎えする際には欠かせない重要な役割を担っています。

分霊の歴史と理由

分霊は、日本の古代から行われていたとされています。具体的な時期や起源は不明ですが、神々や仏様が分身を作るという概念は、古代から信じられていたと考えられています。

【分霊がおこなわれる理由】

信仰の広がり
神社や寺院の創設者が、自らの地位や名声を広めるために、自らの御霊を分け与えることで、信仰の広がりを目的としたものがあるとされています。

安全確保
神社や寺院の建設や運営には多大な費用や労力が必要であり、その安全確保のために、神職や僧侶が神聖な御霊を守護すると信じられたため、分霊がおこなわれたとされています。

神々や仏様の力を得るため
神社や寺院には、神々や仏様が宿っており、その力を得ることで、信仰者の願いや願望を叶えることができると信じられていました。分霊は、その神聖な力をより身近に感じることができる方法の一つでした。

以上のように、分霊がおこなわれる理由は複数ありますが、その起源や時期については明確には分かっていません。

末社とは

末社とは、主神社や本殿の周辺にある、補助的な神社や神殿のことを指します。末社は、主神社の祭祀において重要な役割を担っており、地域や信仰者の信仰を集める場所としても知られています。

末社には、神社の由来や歴史に関連したもの、地元の氏神様や水神様、山神様、農業にまつわる神様など、様々な種類があります。また、末社には大小様々なものがあり、中には、本殿よりも格式が高いとされるものもあります。

末社の祭祀は、主神社の祭祀と同様に行われますが、祭りの内容や日程は、地域や神社によって異なります。例えば、ある地域の祭りでは、末社の神々を祀るために山や川を渡る行事が行われたり、ある神社では、年に一度の祭りで末社の神々を本殿に遷座する儀式が行われるなど、様々な形式があります。

末社は、地域の文化や風習、信仰の集積地として、日本の神社の豊かな多様性を象徴する存在です。

遷宮とは

遷宮(せんぐう)とは、神社の本殿を新しい場所に移すことを指します。遷宮は、地震や火災などの天災や、神社の規模拡大や社殿の老朽化に伴い、必要に応じて行われます。

遷宮は、単に社殿を移すだけではなく、神社の神職や信仰者たちが、神様が新しい場所に移ることを祝い、旧場所から新しい場所への移動の儀式を行うことも含まれます。遷宮は、神社の歴史や伝統、信仰の象徴的な行事であり、日本の神道文化において重要な儀式の一つです。

遷宮は、古くは朝廷や貴族層の支援を受けて行われることが多かったため、社殿の移動には膨大な費用がかかりました。また、移動には強力な力を持つ神様を安全に新しい場所に移すための儀式や、神様が新しい場所に住まうための準備など、多くの手続きが必要となります。

近年では、技術の進歩により、社殿の移動に使うクレーンやトレーラーなどの輸送機器が大型化・高性能化され、効率的に移動することが可能になりました。しかし、遷宮の伝統的な儀式や神事などは、古くからの形式が守られていることが多く、神社ごとに異なる独自の儀式が行われています。

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