なぜ伊勢神宮はそこにあるのか

神社といえば伊勢神宮には一度はお参りに行きたいものです。周辺には老舗の旅館が立ち並び、観光するのも興味あるところばかり。しかし、三重県伊勢市にある伊勢神宮に行こうと思うと、公共の交通機関で乗り継ぎ等を考えると結構時間がかかる旅になります。

現代で考えると京都、奈良にあってもおかしくないのですが、なぜ三重県にあるのでしょうか?その理由が知りたいと思います。

伊勢神宮

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伊勢神宮は、どうやって誕生したのか?
宮中に祀られていた天照大神が鍵

日本にはたくさんの神社があります。神社本庁に登録されているだけでもその数およそ約8万社といわれていますが、路傍の小さな祠まで神社として数えていた明治時代には、その倍以上の19万もの神社があったそうです。

その神社のなかで、トップの座についているのが伊勢神宮です。

「神宮」というのはもともと、神社のなかの神社である伊勢神宮にのみ与えられた称号で、「神宮」と略して呼べるのは伊勢神宮だけです。

伊勢神宮が誕生した時を考えてみましょう。

『日本書紀』によれば、崇神天皇5年(紀元前92年)に疫病が流行しました。

その被害の死者は、当時の日本の人口の半分を超えたという。

そこで崇神天皇は、自分の徳が足りないがためにこのような事態になったと、神に謝罪します。すると神から、返事が返ってきたのです。

神がいうには、天皇の宮に、天照大神(アマテラス)と倭大国魂(ヤマトオオクニタマ)の2柱の神が一緒に祀られているため、互いにその力を牽制しあい、これ以上一緒には住めないのだ、と。

そこで天皇は天照大神に豊鍬入姫命(トヨスキイリヒメノミコト)をつけて、倭(大和)の笠縫村(奈良県三輪市)に祀ることにしました。

この場所は山辺の道のそばにある檜原神社だといわれ、現在ではすぐ近くにある大神神社の摂社になっています。

なぜ伊勢に神宮ができたのか?

やがて次の垂仁天皇の代になると、年老いた豊鍬入姫命のかわりに、倭姫命(ヤマトヒメノミコト)に天照大神を祀らせるようになりました。このとき倭姫命は、天照大神が鎮座するのにふさわしい土地を求めて、各地を旅するのです。そして伊勢国に入ったとき、天照大神は倭姬命にこう言葉をかける

「この神風の伊勢国は、永久不変に浪がしきりに打ちよせる国です。大和のわきにある美しい国です。この国に降りたいと思う」

こうして倭姫命は、アマテラスの教えにしたがって社を建てた。これが伊勢神宮の起こりである-。

興味深いのは、このときの倭姫命の旅です。

実は、倭姫命の前に天照大神に仕えた豊鍬入姫命も、笠縫村のあと、天照大神に指示されるまま丹波、紀伊などを21年も巡ったといわれています。倭姫命にその役を譲ったのは老齢が理由とのこと。

そして現在でも、天照大神がふたりの「巫女」とともに巡った神社は、「元伊和」と呼ばれ、その名を残しています。

しかも笠縫村の檜原神社を筆頭に、京都丹波の籠神社、和歌山市の日前(ひのくま)神宮、國懸(くにかがす)神宮など、いずれも由緒正しき古社ばかりなのです。

なかでも神社は、代々海部氏によって神主の座が世襲され、古代の家系図も残っています。

この家系図は紙を縦につないだ日本最古の系図で、国宝に指定されています。また、神宝である2枚の鏡は、鑑定の結果、約2100年前と1950年前のものだということがわかっています。

天照大神の託宣

こうした悠久の歴史をもつ古社が、「元伊勢」として選ばれたということは、天照大神が当時の有力な神社から神社へと移動したことを物語っているのかもしれない。その結果、ようやく見つけた安住の地が、伊勢だったのです。

なお、このときに祀られたのは現在の内宮で、外宮にはまた別の物語があります。

『止由気宮儀式帳』によれば、雄略天皇の時代、天皇の夢のなかにアマテラスが現れてこう告げた。

「自分ひとりきりでいたのではとても苦しいし、食事も安らかにはできない。丹波国比治の真奈井にいる等由気大神を、私のもとに連れてくるように」

これに従い、丹波から招いたのが穀物の神である外宮なのですが、逆にこの外宮こそもともと伊勢にあった神で、天照大神はその後にやってきた神だという説もあります。

いずれにせよ、天照大神はただ皇室の祖先神というだけでなく、神武天皇の父にあたるウガヤフキアエズが地上に降りてから以降、常に天皇家とともにあったわけです。

その天照大神を祀った伊勢神宮が神社の中の神社、神宮と呼ばれるのには、こうした背景があるのです。

伊勢神宮への行き方

【所在地】

内宮(皇大神宮)三重県伊勢市宇治館町1

外宮(豊受大神宮)三重県伊勢市豊川町279

【外宮までの交通機関のアクセス】

三重県方面からは近鉄四日市駅、またはJR四日市駅から伊勢市駅へ。

東京・名古屋方面からは、近鉄名古屋駅またはJR名古屋駅から伊勢市駅へ。

京都・大阪方面からは、近鉄京都駅または近鉄大阪上本町駅から伊勢市駅へ。

伊勢市駅から徒歩約5分で外宮です。

内宮へは、徒歩約50分ですがバスやタクシーを使うと10分程度。

元伊勢神宮について

元伊勢神宮(もといせじんぐう)とは、伊勢神宮が伊勢の現在地に着座するまでに遷座した時に、各地に分祀して残された元伊勢と云われる神社群です。

特に丹波国(後に丹後国、現京都府福知山市大江町)に着座した皇大神社と豊受大神社はそれぞれ元内宮と元外宮と伝わり、これらが近接してあるので、大江町の二社を総称して元伊勢神宮ということがあります。

また、同地内の岩戸山という異称を持つ日室ヶ嶽の麓には天岩戸神社があって、これらで元伊勢三社ともいう。

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