手紙の作法(表書きと裏書き)

現在のように電話やインターネット、ファクシミリがなかった時代には、手紙が唯一の伝達手段だったため、古くから手紙のやりとりが重視されてきました。
とくに礼儀を重んじる日本人にとって、手紙は書式をはじめ、文体、言葉遣いなどにも、細かな心配りをして書いていました。

元来、手紙とは封書のことを指します。
葉書は近代になって使われだした略式な手紙ですので、出す相手と書く用件によって、区別するのがいいでしょう。
葉書は「端書」とも書くように、「端」である紙片に書きつける覚書の意ですから、簡潔に用件を伝える場合などの便宜的な手段として利用します。

手紙を書く女性
目次

手紙の表書き(様、殿、御中の使い分け)

手紙や葉書を送る際、相手の名前のあとに、どのような敬称をつけるかは、相手の地位や送る側の立場などによって異なります。

◎「様」を使うとき

もっとも一般的な敬称で、相手が目上、同輩、目下、男女に関係なく使います。

◎「殿」を使うとき

公文書やビジネス文など改まった形で相手に手紙を出す場合に用い、また、父親が自分の子どもに出すときにも、「殿」を使うのが一般的です。

◎「御中」を使うとき

相手が個人でなく、会社や組織、団体などの場合に使うもので、「その組織・団体のどなたかに」という意味なので、「○○会社御中△△△△様」と書くのは、おかしいことになります。

◎「各位」を使うとき

相手が個人ではなく、複数の人に出す際に用い、例えば「同窓生各位」などとします。

◎「脇付け」とは?

手紙を受け取る人に「様」「殿」をつけるほかに、さらに敬意を表して「侍史」「机下」「御前」「御許に」などと書き添えることもあります。これを「脇付け」といいます。

◎その他の表書きの敬称

「侍史」は「おそばにいる人を通じて」という意味、「机下」は「相手の机の下から差し出す」、「御前」「御許に」は、ともに「お手元に」といった意味があります。

しかし、最近ではめったに脇付けを見かけなくなっています。
また、手紙を受取人自身に開封してほしいときには、封筒表の左下側に赤字で「親展」と書きます。親展の「親」は「自ら」、「展」は「開いてください」という意味です。

裏書き(差出人の名前はどこに書くのか)

手紙の裏書きは、住所を書いて、その左側に差出人の名前を書きますが、名前は中央の封書の継ぎ目の上に書くようにするのが正式です。

しかし、書きにくい場合は、継ぎ目の右側に住所を書き、左側に名前を書いてもかまいません。

また、手紙を入れて封をした際に「〆」「封」「綾」などと書きますが、古くからの習わしでは「〆」が一般的です。
慶事の手紙では「寿」「賀」などと書くこともあります。

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