手紙の表書きには、受取人の敬称を使い分ける時に注意したい作法がある。

最近では郵便番号と氏名を書いておけば、ほぼ郵便物が届きます。
でもせっかくの手紙ですから、封筒には受取人の住所氏名を書く「表書き」をきちんと書きたい。
実は「表書き」には、一定の作法があります。
これを間違えてしまうと、相手を不快な気分にさせることになるので知っておいて損はありません。

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現在の敬称では、「先生」「様」「殿」ぐらいしかバリエーションがありませんが、江戸時代より前には、当時の身分によって、表書きの敬称には厳密な取り決めがあったそうです。

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手紙の表書きに敬称をつける際の使い分け

「様」は相手が目上の相手にも、目下の相手にもよく用いられる一般的な敬称です。

恩師や政治家、弁護士、会計士、税理士、医者、学者に出す手紙には、「先生」の敬称を使うのが自然です。

「殿」は、今ではあまり見なくなってきました。そして使い方に悩むところですが一般的には、官庁や企業などの団体から個人あてに送る手紙に用いられます。
そして親子などごく親しい関係の目上の者と目下の者との間に、「殿」の敬称を用いることもあります。

よく「様」は女性、「殿」は男性にという思い込みがありますが、本来は上記の意味なので、気をつけたいものです。

手紙の表書きで、敬意を表す際の脇付の作法

官庁、企業などの団体あての手紙には、「各位」か「御中」の敬称を用いるのは社会人として常識なことです。

気をつけたいのは「各位」は、団体のなかの複数の人あての手紙の場合に、「御中」は団体に送る手紙の場合に使うこと。
「各位」は「団体のなかの皆様方」といった意味の言葉です。
担当者が分からない場合は「某社のなかの御方」といった意味の遠まわしの敬称が「御中」です。

とくに相手を敬う必要があるときには、宛名に脇付を添えて敬意をあらわします。

「侍史(じし)」「机下(きか)」「御前(おんまえ)」「玉案下(ぎょくあんか)」といった言葉が、脇付に使われます。

先方を敬って返事を出すときには、「貴酬(きしゅう)」の脇付を用います。

手紙の作法は、言霊信仰に由来する

手紙を書く場合には、つねに相手を敬う気持ちをもって用件を伝える文章を書き上げていくように心掛けたいもの。だからこそ、日本人は古くから受け継がれた言霊信仰にもとづいて、書状を書く際のさまざまな作法をつくり上げてきたのです。

自分を敬う気持ちのこもった言葉で書かれた書状を受け取れば、その書状の言霊によって自分が少しだけ偉くなると考えました。

だから、江戸時代以前の人びとは書状を受け取ることを大いなる楽しみと考えていました。
この考えがあるから、旧家などでは古文書がたいせつに保管されているのです。そのなかには、歴史研究の貴重な史料となった文書もあります。

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