日本のタブー(禁忌)

日本には、日常生活で「これをやってはならなどというタブー(禁忌)が多くみられます。
昔からの日本の慣習として伝わってきているものには、それなりの理由があります。
生活の知恵からもたらされた、暮らしのタブーを考えてみましょう。

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祖先が伝えてきた日本のタブー

祖先が伝えてきたものは、次の三種数のものに分けられます。

①不作法とされること。
②合理的に考えても損になること。
③古くからの精霊崇拝にもとづく神道的信仰からくるもの。

「夜に口笛を吹いてはいけない」
「箸から箸へ食べ物を渡してはならない」
といったタブー(禁忌)は①の不作法を避けるもの。

また、「畳のへりを踏んではならない」
「氷とてんぷらを食べ合わせてはよくない」
といったタブー(禁忌)は②になります。

畳のへりを踏むと、上質の織物でつくった畳のへりが早くいたむ。冷たいものと油っこいものを同時に食べると、胃腸に負担をかけて病気のもとになる。

こうした合理的説明で理解できるものは、タブー(禁忌)ができた理由がよくわかります。

これとは別に、「箒(ほうき)を踏まない」といった神道的な精霊崇拝にもとづくタブー(禁忌)もあります。

これは、道具に霊が宿るという信仰によって、物を大切に扱おうとする考えからなされたタブー(禁忌)です。

そうでなくても箒をたいせつに扱えば、箒が長持ちして得になる。それゆえに、このような精霊崇拝にもとづくタブー(禁忌)も、ひろい視野でみれば合理性をもつものであるといえます。

霊枢車と親指の関係

江戸時代ごろまでの日本人は、自分の仕事の道具を神からの授かりものとしてたいせつに扱っていました。

時代劇や映画のセリフにも「刀は武士の魂である」という言葉があります。

これは、多くの武士がいざ合戦というときにそなえて上質の刀を買い入れて、それの手入れを怠らなかったことからくるものです。

武士は、すぐれた愛刀と出合わせてくれた神に感謝して、その刀を自分の魂のこもったものとして扱ったのです。

商家では、そろばんがたいせつに扱われました。

家庭では、台所道具などの家事の道具が重んじられました。

「霊枢車を見たら親指を隠せ」というタブー(禁忌)があるのをご存じでしょうか?。
子供の頃にそうした経験がある人もいると思います。

これは、霊枢車が普及した大正時代以後に、広まったものです。

「親はたいせつなので、親の命を死者に取られないために親指を隠すタブー(禁忌)ができた」といわれることもあります。

しかし、実は葬礼のときに、親指を隠す習俗は古くからみられました。

日本の精霊崇拝には、古くから親指を自分の霊魂の出入り口とする考えがあったのです。
古代人は、死者の穢れが自分の魂に入りこまないように親指を隠したと思われています。

かれらはその行動を通じて、いつまでも身内の死の悲しみを引きずらずに生きようと考えました。

このような精霊信仰にもとづくタブー(禁忌)は、日本人が長期にわたって受け継いできた、よりよく生きるために有益なものでです。

私たちは日本のタブー(禁忌)について知り、それを実践することによって、日本の伝統的な知恵に触れることができるのです。

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