無意味な喧嘩を防ぐための日本人の知恵が正座を生み出した

私は正座が苦手です。
日本での暮らしも昔のように畳の上に座る生活から、椅子に座っている時間の方が長くなりました。
そのため正座をする機会が少なくなり、改まった席なので正座をするとすぐに足がしびれてしまいます。

しかしこの正座と言う姿勢は、とても美しいものです。
正座のときには、背筋をぴんと伸ばして、両手を太ももの上に置く。時代劇や歌舞伎の、多くの者がきっちり並んで正座している姿は美しいもの。

長時間正座ができなくても、やっぱり日本人として美しく正座ができるようになりたいものです。

正座をする

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正座は茶道の作法から

現在でも、和室での作法にかなったすわり方は正座だとされています。
正座は、ひざを折って、ひざとひざとの間をこぶし一つあけて両足をそろえてすわる方法です。

この正座は、千利休が広めたもの。
利休は、安土桃山時代の茶道の師で、現在の表千家、裏千家、武者小路千家からなる茶道の三流派の元祖にあたる人物です。

利休は、狭い茶室に多くの者が集まると場所をとってしまうと考えて、場所をとらない正座という座り方を用いたとされています。

正座は、立ち上がるのに手間がかかる座り方です。
いったん正座を崩して、体を斜めにして足の裏を床につけないと立てません。

利休の生きた時代には、国と国とが争う戦国時代でした。
武士たちはできるだけ戦争を避けようと、最初は話し合いで取引を持ちかけるために狭く静かな茶室で駆け引きを行いました。

また利休は、武士たちが茶席を利用する際に、武士の言い争いが、互いに立ち上がっての斬り合いや殴り合いになるのを避けるために、正座を採用したとする見方もあります。
争いの当事者が立ち上がるまでの間に、誰かがうまく話して二人の争いをなだめることができるからです。

古代の正式なすわり方

ではもっと昔の日本人は、どのような座り方をしていたのでしょう?

じつは古代の正式な座り方は胡坐です。

胡坐は足を開いて座るので、すぐに立ち上がることができます。
胡座のままで足の裏を床につければ簡単に立てます。

だから、平安時代から鎌倉時代にかけて多く描かれた絵巻物の人物や、彫刻にはみんな胡坐をかいています。

しかし茶道を身につけた武士たちが、正座は余計な争いを避けるのによいすわり方であることに気づきました。
そのために江戸時代なかばころから、正座が武家の正式の作法とされたのです。

すると農民や町人も、武士のすわり方を見習うようになり、一般的に普及していきました。

このように正座とは、無意味な喧嘩を防ぐための日本人の知恵から生まれたものなのです。

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