葬列に出会ったら親指を隠せ

子供の頃、移動するお社のような、豪華絢爛な宮型と呼ばれる霊柩車を見かけると、急いで親指を隠していました。

親指を隠さないと、霊に取り憑かれると思っていたようです。

現代ではお社のような荘厳な霊柩車もほとんど見かけなくなり、普通の黒い車でしかないので、霊柩車が直ぐ側を通ったとしても、全く気が付きません。

だからこの風習を知らない現代っ子は、多いと思います。

それでも霊柩車が側を通ると、ちょっと怖いと思うのは、霊的なものを割りと信じる日本人の特性なのかもしれません。

霊柩車

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親指を隠すことは霊気に対抗する有効な手段だった

この言い伝えを現代ふうに言い換えて「霊枢車に出会ったら親指を隠せ」と、注意をうながす人もいます。昭和世代の人は、そう言われてきたのではないでしょうか。

現代では、葬儀は公民館や葬儀場で行うことが一般的です。

しかし、昔の葬儀は主に死者の自宅で行なわれていました。

そして、遺体を収めた棺とともに、自宅から墓地まで参列者が列をつくり行進するのが慣わしだった。

この葬送の列に出会ったら、すぐに親指をグッと手のひらの中に入れて折るようにと、両親や祖父母から言われた経験を持つ人も多いはずです。

なぜ、親指を隠すようにして折り曲げるのでしょうか? 他の指ではいけないのでしょうか?

これは、親指を隠して握りこぶしをつくるのは、気を充実させるための最良のポーズだからだと言われています。

気を充実させることにより、葬列の中心にいる死者から発せられる霊気が、自分の体に侵入してくるのを防ごうとしたのです。

日本人という民族は、元来、目にする多くのものに、霊的なパワーが存在すると考えてきました。

常日頃から自然の力を敬いつつ、気候の変化や動植物との出会いに、運命を感じる感性も持っていました。

そして死してまもない遺体には、特に強い畏怖の念を抱いていました。

死んだばかりの遺体の周囲には、霊気が漂っています。

だからぼんやりしていると、その霊気が自分の中に乗り移ってしまい、不幸が訪れることになると考えていました。

その対抗手段として、気を充実させ、恐怖を追い払うために、親指を折って手のひらに隠すことが有効だと考えたのです。

さらにこの方法は、死者と出会ってしまったとき以外にも有効だと考えられていたようです。

夜道でキツネに化かされないためとか、犬に吠えられて恐くなったときとか、さらには病人の家の入り口に入るときなども、親指を隠して気を充実させると良いと言い伝えられています。

霊柩車のはじまり

霊柩車は大正時代の始めに、大阪でアメリカから輸入した霊柩車を使用したことから始まります。

ただしそのまま使用せずに、死者を敬う気持ちから日本伝統の『輿(こし)』を合体し、車に乗せたのが始まりです。

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